BlaBlaCarの開封率を最大24%向上させたスマートテストの活用方法
BlaBlaCarの最適化プロセスは、明確な目標設定から始まりました。メールでできるだけ効果的に顧客にアプローチするとともに、メールの開封率を最大化することを目指しました。BlaBlaCarでは、自社のビジネスにとって重要な指標は何か、どこを改善したいのかを明確にしたことで、マーケターがどこにフォーカスすべきか(そして最終的には何をテストすべきか)を容易に判断できるようになりました。
今回は、アメリカでのBraze導入事例をご紹介いたします。
企業で解決を希望するカスタマーエンゲージメントの問題について考えてみましょう。例えば、メールを送信しているものの、開封率が低いかもしれません。目指す場所に到達するためには、いくつかのハードルを越える必要があります。勘に頼るだけでは乗り越えられません。テスト戦略を確立する(そしてそれを維持する)ことが急務です。そして最後に、反省の余地を残し、努力の効果を効果的に測定する必要があります。
では、実際にどのようにしたらいいでしょうか?
フランスの相乗りプラットフォーム、BlaBlaCarについて考えてみましょう。世界22か国で6,500万人のドライバーと乗客が登録しているこの先進的な企業はウェブサイトやアプリで車の旅行をコーディネートしていますが、メールマーケティングの最適化を模索していました。その方法は単に開封率を20%以上高めただけでなく、明確なロードマップを示しており、他の企業も同様の成果を上げることができます。
ステップ1:マーケティングの目標を設定する
BlaBlaCarの最適化プロセスは、明確な目標設定から始まりました。メールでできるだけ効果的に顧客にアプローチするとともに、メールの開封率を最大化することを目指していました。BlaBlaCarでは、自社のビジネスにとって重要な指標は何か、どこを改善したいのかを明確にしたことで、マーケターがどこにフォーカスすべきか(そして最終的には何をテストすべきか)を容易に判断できるようになりました。
ステップ2:マーケティングの仮説を立てる
BlaBlaCarの目標を設定した後に、次のステップとしてテストする仮説(この場合は2つの仮説)の洗い出しを行いました。
- 仮説1:メール受信者は個人名で送られてきたメッセージを開封する可能性が高い。
- 仮説2:国によって送信者名を変えたほうがパフォーマンスが良くなる。
BlaBlaCarのファニー・アルゴード氏(Fanny Argoud)は、「私たちには、送信者名をパーソナライズすれば、つまりメールプレビューに送信者として名前が表示されると開封率が上昇するという確信がありました」と説明しています。「私たちは次のことを確かめたいと思いました。つまり、この仮説が正しいなら、具体的な送信者名が入っているバージョンと、送信者名がBlaBlaCarのみのバージョンを比較した場合、開封率に大きな差が出てくるはずです。その場合、最適な送信者名が分かります」。
ステップ3:実験する
この2つの仮説を検証するプロセスを自動化し、簡素化するために、BlaBlaCarではBrazeキャンバスを導入しました。このビジュアルカスタマージャーニーツールは、マーケターがキャンペーンのコンセプトを簡単に考え、ターゲットに合わせたパーソナライズされたメッセージをチャネル間でシームレスに調整できるように設計されています。BlaBlaCarでは、フランスとロシアの2つの市場でテストフローを開発し、2か月間で関連する実験を数ラウンド行いました。実験は、以下のように複数の送信者名のバリエーションを比較するA/Bテストを中心にしたものです。
- 送信者名を「BlaBlaCar」にした場合と、ファーストネーム(例、「John」または「Jane」)を送信者名として使用した場合
- 一般的なファーストネームと珍しいファーストネーム
- 男性によくある名前と女性によくある名前
ステップ4:結果を評価する
送信者名はBlaBlaCarのメールプログラムのエンゲージメントに大きな影響を及ぼしたでしょうか?はい、大きな影響があることが実証されました。実際、この企業では、実在の人物のファーストネームでメールを送信すると、「BlaBlaCar」から送信されたメールと比較して、メッセージの開封率が20%以上も高くなることが分かりました。また、性別や名前の人気がメールの開封率に影響を与えるという仮説は正しいことが証明され、ロシアとフランスの両国では男性の一般的な名前が最も良い反応が得られました。
キャンペーンの開封率を国別、送信者名別に分類したスナップショットを以下に示しています。
すべてのテストが具体的な行動につながるわけではないとはいえ、このテストではインパクトがありました。BlaBlaCarでは、この実験で得た教訓を生かしてフランスでのメールマーケティングキャンペーンをすべて送信者名「Julien」からの送信に切り替えるとともに、他の国でも同様の取り組みを始めています。
まとめ
今回のBlaBlaCarの実験は、ファネルのトップの重要指標(特にメールの開封率)を対象としていましたが、この実験の成功をきっかけに他の企業がメールメッセージのテストを深く掘り下げて行うことも可能です。例えば、同様のキャンペーンを実施し、異なる送信者名を使用した場合に指標に後々どのような影響が出るかを調べることができます。特定の名前やタイプでメッセージを送信した場合に、1週間後や1か月後にリテンションが上昇するか、下降するかを見ます。
この場合、以下の点が重要です。メールマーケティングキャンペーンの全体的な成功には、多くの要素が影響するため、それらすべてに注意を払う必要があります。マーケターの常識、つまり、「これまで通り、企業名でメールを送る」ということが、気づかないうちに顧客エンゲージメントに影響を与えているかもしれません。それでも、メールマーケティングのエンゲージメント戦略やアイデア、テストについて検討すれば、常識は変わります。