IBMが、Brazeを活用したライフサイクルメッセージ配信で コンバージョンを最大5倍にアップ
IBMでは利用者のカスタマージャーニー全体で優れた体験を提供するため、
Brazeと、Braze AlloysパートナーであるAmplitudeとSegmentを活用。
顧客インサイトを深め、より効果的なメッセージ配信を支える、
インタラクティブなデータフィードバックループを構築しました。
今回は、アメリカでのBraze導入事例をご紹介いたします。
クラウドの普及は、現代におけるビジネスのかたちを変えました。あらゆる規模のブランドがグローバルなデジタルオペレーションの構築、成長を効果的に実現できるようになっています。クラウドコンピューティング分野の主要プレーヤーであるIBMにとって、IBM Cloudを構成する150以上の製品やサービスを利用する企業や組織と強固な関係を築き、維持することは重要です。
IBMでは利用者のカスタマージャーニー全体で優れた体験を提供するため、データのアジリティや徹底的な分析をサポートし、お客様のインサイトに基づいてタイミングよく効果的なアクションをとることができる、目的別に構成されたマーケティングテクノロジーが必要でした。このビジョンを実現すべく、IBMが注目したのがBrazeと、Braze Alloysの技術パートナーであるAmplitudeとSegmentでした。
優れたユーザージャーニー:ライフサイクル全体を通してIBM Cloudユーザーを支援・育成
IBM Cloud顧客体験は、ユーザーごとに異なります。IBMにとって各ジャーニーの最初から最後まで、シームレスかつ自動的に支援と付加価値を提供することが重要です。まずは、教育的なオンボーディングからスタートし、続いてアカウント設定といったエンゲージメントの主要マイルストーンに基づいたメッセージ配信を行います。ほかにも、エンゲージメントが低下してきたユーザーをターゲットにしたウィンバックキャンペーンなども展開されています。
IBMでは長年にわたり、ユーザーやIBM Cloudに関したエンゲージメントやコンバージョンについて、豊富な行動データを蓄積してきました。その反面、システムがサイロ化しており、データを利活用して、効果的かつ的確なライフサイクルメッセージ配信キャンペーンに役立てる作業が複雑化していました。しかし、Brazeを導入してSegmentやAmplitudeと連携させることで、顧客インサイトを深め、より効果的なメッセージ配信を支える、インタラクティブなデータフィードバックループを構築することができました。
ライフサイクル全体を通してユーザーに効果的にリーチするために、IBMではBrazeプラットフォームが支援するクロスチャネルメッセージ配信と、Segmentから渡される主要ユーザーのデータインサイトを利用して、ターゲットに合わせたメールやアプリ内メッセージを配信しています。今日の新規ユーザーを、明日のパワーユーザーに成長させることが狙いです。また、キャンペーンやBraze Canvasのデータを、Amplitudeにシームレスにエクスポートして詳細な分析を行えるので、包括的なダッシュボードを作成することができました。このダッシュボードでは、以下のような主要KPIやコンバージョン率などのインサイトを提供します。
- サポートメッセージを配信されなかったコントロールグループとのコンバージョン率の比較
- Braze Canvasの効果
- IBM Cloudオンボーディング体験から得られた売上
IBMのカスタマー・マーケティング・マネージャー、ニティカ・バルガヴァ氏は次のように述べています。
「セグメンテーション機能を利用し、意味のある配信グループを作成してから、『ズバリ的を射た』メッセージを配信することで、格段に記憶に残るメッセージになります。適切なメッセージ、リマインダー、コードを(ユーザーがアクセスしている)瞬間に届けることができるので、その価値が目減りすることがありません。IBMでは、『今日はよりスマートに、将来はより素早く…』という姿勢を示そうと努めています。その手段が、Braze、Amplitude、Segmentという最強のトリオです」
価値の相互交換:どのような成果をもたらしたか?
IBMにとって健全なお客様との関係とは、お互いの成功の上に築かれるものです。またIBMは、ビジネスの成長を望むのであれば、最初にお客様との間に相互に付加価値を交換する関係作りが不可欠だと考えています。目標を確実に達成するため、注力すべき7つの主要領域において成功を測定しています。
- エンゲージメント
- 維持(リテンション)
- アドボカシー
- 拡大
- 解約防止
- 満足
- 顧客感動(カスタマーディライト)※顧客満足以上の感動を与えること
指標を改善するうえで、Brazeを活用したライフサイクルマーケティングは、IBMの戦略に不可欠な要素となっています。IBMではお客様の支援・育成プログラムの一環として、主要ユーザーのアクションを軸にコンバージョンイベントを設定しています。たとえば、「[X]ページを見た」、「サービスを新規作成した」、「オブジェクトを作成した」、「課金サービスを使用した」といったアクションです。IBMはBrazeからのメール配信を活用することで、メールを送らなかったユーザーと比較し、コンバージョン率を7%向上させました。また、最大の従量課金制(PayGo)フローに属するユーザーの64%に、トップ4のコンバージョンイベントを1つ以上実行させることができました。
またIBMでは、各ユーザーの請求可能アクションに関するデータを活用し、「パワーユーザー」と「休眠ユーザー」にセグメント分けしたメッセージストリームの間で、ユーザーを自動的に移行させています。これにより、受け手にとってより関係性の深いパーソナライズされたメッセージを届けるマーケティングが可能になっています。Brazeを使用して完全自動化されたメールを作成することで、ユーザーが「Watson Assistantでサービスを新規作成した」、「月間課金サービスを使用した」その瞬間に、IBM Cloudのサービスとのエンゲージメントを深めることを後押しする、関連性の高いメッセージが配信されます。
Braze、Segment、Amplitudeを併用することで、専門家でなくても誰でもデータを利用できるようになり、IBMは長年勘に頼ってきた作業を検証、評価することが可能になりました。たとえば、Amplitudeでユーザーのグループを作り、カゴ落ちとの関連を示す一連の行動を多角的に分析します。次に、そうしたインサイトをBrazeで活用し、途中で離脱したグループに属するユーザーに効果的に的を絞ります。このキャンペーンにより、特に収益性の高い事業の1つに関してカートリカバリーの促進に成功しました。ライフサイクルに沿ったメール配信により、メッセージを配信しなかったコントロールグループと比べて、コンバージョンが5倍アップし、年間経常収益(ARR)が80万ドル増えました。
最終的な考察
インサイトは不可欠です。しかし、インサイトに基づいてアクションをとる力がなければ、その潜在力を十分に生かすことはできません。IBMはBraze、Segment、Amplitudeにより、IBM Cloudと関連サービス(Watson、Kubernetes、Cloudantなど)について、コンバージョン率、製品の導入率、課金サービスの使用状況を評価し、その情報を活用して、よりスマートで効果的なライフサイクルマーケティングキャンペーンを推進できるようになりました。Braze、Segment、Amplitudeは、データドリブンマーケティング、ユーザーロイヤリティ強化、収益性の向上を支えています。その可能性は無限です。