課題
サザビーリーグの社内カンパニーとしてジュエリー事業を展開するエーアンドエスカンパニーが直面していた第一の課題は、国内外100店舗以上の実店舗とECのクロスユースの遅れでした。また、効果的なデジタルマーケティングの展開では、顧客コミュニケーションのチャネルがメールしかなく顧客接点が少なかった点も大きな問題点でした。
サザビーリーグの社内カンパニーとしてジュエリー事業を展開するエーアンドエスカンパニーが直面していた第一の課題は、国内外100店舗以上の実店舗とECのクロスユースの遅れでした。また、効果的なデジタルマーケティングの展開では、顧客コミュニケーションのチャネルがメールしかなく顧客接点が少なかった点も大きな問題点でした。
着目したのは、マーケティング施策のパーソナライズでした。同社はこれまで実店舗の顧客にもECサイトの顧客にも同じメールを一斉配信してきましたが、クロスユース推進および新規顧客からリピーターになってもらうには購買履歴に応じ、適切なメッセージが送信できる仕組みが不可欠と考えたことがその理由でした。
パーソナライズされた各種施策は、エンゲージメント向上に貢献。実店舗・ECクロスユースでも一定の成果を挙げています。さらにBraze導入に合わせて社内で実施されたデジタルマーケティングに関する啓発活動は、実店舗のマネージャーやスタッフの意識改革に大きな役割を果たしています。
サザビーリーグのビジネスは、アパレル、服飾雑貨、生活雑貨、飲食、ビューティなど、ライフスタイルのすべてに及び、多角的な事業は、カンパニー制のもとで推進されています。エーアンドエスカンパニーは、アガット、ノジェス、ベルシオラ、ラムダの4つのブランドを通し、ジュエリー事業を展開する社内カンパニーになります。
主力ブランドは、1990年のデビュー以来、その時々の女性の生き方やファッショントレンドを反映したジュエリーであるアガット。個性的なジュエリー提案を行うブランドであるノジェス、上質なダイヤモンドと洗練されたデザインによるより豊かな日常を提案するベルシオラ。また2023年にローンチしたラムダは世代の枠組みを超えたボーダレスなジュエリーブランドを追求しています。
当社に限らず、近年ジュエリー市場は活況を呈していますが、その背景には大きく二つの理由があります。一つは金価格の高騰もあり、ジュエリーが資産としても大きな注目を集める点です。もう一つがインバウンドによる需要の高まりです。
もちろん私たちもECサイト運営を行っていますが、国内約70店舗、海外約40店舗のリアル店舗が売上の8割強を占め、こうした状況は今後も大きく変わることはないと考えています。その理由としてまず挙げられるのは、天然石ジュエリーの個体差がある点です。商品を手に取り、自分の好みのジュエリーを選ぶことのできる実店舗の役割が失われることは今後もないでしょう。もちろん一方では、ECサイトでもリアル店舗に近い購買体験を提供することは今後の大きな課題であります。
前提としてあったのは、ジュエリー市場の伸長という追い風もあり新規顧客が増えた一方で、F2転換率が向上しない点でした。LTV(顧客生涯価値)向上という観点で私たちが注目したのは、実店舗とオンラインの融合でした。実店舗で買い物した顧客をECに送客し、ECで買い物した顧客を実店舗に送客する上で大きな課題として浮かび上がったのが、顧客とのコミュニケーション手段が基本的にメールしかなく、メッセージの一斉配信しか行えていないという現状でした。実店舗とECの相互送客を実現するには、まずはこの点から手を付ける必要がありました。
私たちDX推進室 CRM・EC支援課は、デジタルマーケティング支援を全社的に行う部署です。エーアンドエスカンパニーから相談を受けたとき、すでに一部のブランドではMAツールを使ったパーソナライズがスタートしていましたが、全社的な支援という観点から、サザビーリーグに適したツールを他にも改めて自分たちで検討する必要があると考えました。
Brazeを選んだひとつの理由は、Brazeが掲げる「Human Connection」というミッションへの共感でした。
エーアンドエスカンパニーをはじめ、サザビーリーグは、実店舗での顧客体験を大切にすることで成長を続けてきた歴史もあり、社内の一部にはMAツール導入自体に消極的な意見もあったのですが、Human Connectionの視点でBrazeの機能をプレゼンテーションいただけたことは、社内の意識を変える上で大きな役割を果たしました。
また利用中のツールと比較し、UIが使いやすく、セグメントを切ったり、配信設定を行なったりすることが感覚的に行える点も高く評価しました。Brazeの場合、セグメントを切ると、対象となる顧客数が即座に表示されますが、マーケッターによる施策立案を効率化する優れた機能だと思いますね。
導入を決定したのは2022年4月で、約4カ月後の同年8月からは運用をスタートしています。私は8月に入社しましたが、以前の職場で使っていたツールと比較すると、本当に使いやすいというのが第一印象でした。例えば「Webサイトの特定のアクションをトリガーにメッセージを配信する」というようなシナリオが感覚的に設定でき、その効果がすぐに検証できるなど、とても魅力的なツールであると感じました。
当社に限らず、実店舗がECに距離を置くことは珍しくありません。こうした中私たちが取り組んだのは、メッセージをパーソナライズすることで、一斉配信とは異なる、温もりのあるコミュニケーションが可能になることを実店舗にも知ってもらうことでした。ちょっと恥ずかしかったのですが、和田と加藤による対話形式の動画でBrazeの機能を紹介したり、店舗マネージャー・スタッフを対象にしたメール作成の勉強会などの啓発活動を繰り返したことで、今では店舗側が作成したメールを配信することも日常化しています。
現在、和田、加藤、七戸を含む6名の担当が、アガット、ノジェス、ベルシオラの3ブランドの顧客とのコミュニケーション基盤としてBrazeを運用しています。2023年の例では、施策数は年間400本ほどで、具体的には、リピーター化やエンゲージメントを高める施策のほか、カスタマージャーニーに沿った施策、キャンペーンの効果を最大化させる施策などを、メールやプッシュ通知、アプリ内メッセージ(IAM)、LINE連携、Webサイトやアプリ内に埋め込んでいるコンテンツカードなどを通して実施しています。
Braze導入で改めて実感したのは、パーソナライズの効果でした。以前、同一件名で一斉配信した場合と件名だけをパーソナライズした場合のメール開封率を比較してみたことがあるのですが、「〇〇様へ」など、件名をパーソナライズしただけでも開封率が6、7%向上する結果が得られています。
また当社のノジェスというブランドでは、以前から占い師の先生による星座別のおすすめジュエリー情報を半年に1回のペースで一斉配信してきましたが、Braze導入後は「〇〇座の〇〇様へ」という形で配信のパーソナライズを行っています。それにより開封率が向上し、ECサイトへの遷移率も確実に向上しています。
もう一つの大きな成果が、思い付いたら即座に施策が打てるようになった点です。大きな施策というより、小さな、痒いところに手が届くような施策をサクサク作れるようになった意義は大きいと思いますね。
一例が、お客様がカートに入れたり、お気に入り登録した商品がセールで安くなったタイミングでその通知を行う施策です。通知した場合としなかった場合をABテストで比較したところ、前者のコンバージョンレートは10%近く向上しています。同様に商品購入時の取得ポイント数をお客様のランクに応じて表示する施策は、表示しない場合と比較し、コンバージョンレートに2倍近くの違いが表れました。また当初の課題であるクロスユースについても一定の成果が表れています。
マルチチャネルでお客様にリーチできるようになったことも成果の一つです。メールを開封しなかった方にプッシュ通知を送ったり、プッシュ通知を見なかった方には今度はLINEで通知したりすることで、お客様接点は確実に増えています。
まず取り組みたいのは、カタログやコンテンツカードなどの機能を活用したパーソナライズの一層の進化です。また今後は、BrazeのAI機能のひとつであるPredictive Suiteという購買予測やチャーン予測も活用していきたいと考えていますが、一方で、MAツールを使った効率的なコミュニケーションと温かみのあるコミュニケーションとの両立も大きな課題です。エーアンドエスカンパニーとしては、こうしたデジタルとアナログの融合にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
エーアンドエスカンパニー 管理統括部 WEBシステム課 課長
施策のパーソナライズ化により、エンゲージメントを向上。パーソナライズされたメッセージは、当初の課題であった実店舗とECのクロスユースに大きな役割を果たしつつあります。
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