課題
事業者と働く人をつなぐツーサイドプラットフォームを提供するタイミーにとって、最大の課題は、アプリインストール済みのユーザーに対し、事業者が求められる経験・スキルや勤務地などに応じた柔軟なアプローチが難しいことにありました。またサービスの性質上、多様な条件を満たすグループへのリアルタイムのアプローチも重要な課題になっていました。
事業者と働く人をつなぐツーサイドプラットフォームを提供するタイミーにとって、最大の課題は、アプリインストール済みのユーザーに対し、事業者が求められる経験・スキルや勤務地などに応じた柔軟なアプローチが難しいことにありました。またサービスの性質上、多様な条件を満たすグループへのリアルタイムのアプローチも重要な課題になっていました。
ニーズに見合ったセグメンテーション粒度の実現、そしてSQL文発行を必要とせず即座に条件に見合ったグループをマーケター自身が抽出できる仕組みをBrazeで構築。さらにシナリオを設計し体験を最適化、テスト機能による仮説立証、職歴アンケート調査に基づくセグメンテーションなどのOne to Oneコミュニケーションを通してマッチング品質の向上に取り組みました。
Braze導入後のマッチング品質向上により、求人掲載件数は3カ月で拡大。以前から重視してきたリピート利用するワーカーはーも増加傾向にあります。また職歴や資格に基づく、よりきめ細かなアプローチは、ハイブランドや五つ星ホテルなどの企業との商談拡大にもつながっています。
私たちは、働く人の「働きたい時間」と事業者の「働いてもらいたい時間」のマッチングサービスを提供するツーサイドプラットフォーム「タイミー」を運営する会社です。ビジョンとして掲げるのは「一人ひとりの時間を豊かに」。人生の時間は誰にとっても有限です。タイミーは、その価値を最大限に高める選択肢の一つと私たちは考えています。
タイミーの最大の特徴は1日ごとにマッチングを行う点で、事前面接の必要もないため、空いている時間をフル活用することが可能です。また仕事が終了した時点で即座に給料が振り込まれることも特徴の一つ。仕事を終えて最寄り駅に向かう途中のコンビニですぐにその日の報酬を受け取ることもできます。
特に中小企業にとって、人手不足は深刻な課題で、地域によってはどれだけ求人広告を出しても働き手が確保できないという状況が生じています。こうした中、事業者と働き手のマッチングを図るタイミーは、経済活動を支えるインフラとして今後大きな意味を持つことになると考えています。
働き手であるワーカーさんの登録者数は現在600万人超。パート・アルバイト、会社員、学生など、多様な方に登録いただいています。利用実績のある事業者様は、事業所ベースで17万超。業種で見ると飲食、小売、物流が中心になっています。
事業者とワーカーさんを結ぶツーサイドプラットフォームの運営の難しさは、双方のバランスを保つ必要がある点にあります。私たちのサービスを利用する事業者様だけが増えてしまうと「タイミーで求人してもぜんぜん人が集まらないよ」ということになりますし、逆にワーカーさんだけが増えてしまうと今度は「タイミーを開いても全然仕事がないよ」ということになってしまいます。マーケティング責任者としては、双方のバランスを取ることが常に重要なミッションであり続けています。
例えば埼玉県で物流倉庫を運営するお客様の場合、毎日100~200名という規模感の求人を行っていますが、都内からの通勤が難しいエリアということもあり当初、ニーズに応えるのは難しいのが実情でした。このときはオンラインだけでなく、ラッピングバスを走らせ、該当の市内に絞り込んだオフライン施策を積極的に行うことで100名単位の求人への対応を実現しています。
従前のCRMツールの課題は大きく二つありました。一つはセグメンテーションの粒度の粗さです。オフラインのマッチングを最終ゴールにする私たちのサービスの場合、求人情報の配信エリアの絞り込みが大きな意味を持ちますが、以前のツールでは県単位のセグメンテーションしか行えませんでした。
同様にリアルタイムの対応実現も我々が求めるものの一つでした。例えば、翌日の天気予報が大雨で注文殺到が予想される宅配ピザ屋さんがスタッフを確保しようとした場合、近隣に住む宅配経験があるワーカーさんにピンポイントでメッセージを配信することが効果的です。しかし、以前は都度、必要に応じてSQL文を発行しなければならず、プログラムスキルが必要、かつリアルタイムの対応は極めて困難でした。
セグメンテーション粒度の細かさとリアルタイムの対応の実現という観点で、複数のツールを比較検討した上で、すでに同様の事業を展開する同企業の事例もあり、以前から注目していたBrazeを選択しました。さらに言えば、私たちが目指すアプリを起点にしたOne to Oneコミュニケーションの実現に大きな役割を果たすことが期待できた点もBrazeを選んだ理由の一つです。
一つはキャンバスフローによるシナリオ配信です。現在、通知の約9割はシナリオに基づき行っています。最もオードソックスなものは時間経過に対応した通知の使い分けで、配信開始後24時間はアプリ内通知を利用し、その間アプリを開かなかったワーカーさんに対しては一律にプッシュ通知を行うようにしています。
セグメント別にメッセージが出し分けられるオーディエンスパスは、世代別の仕事ニーズの分析などに活用しています。メッセージに差分を含めず配信すれば、ある求人がどんな世代に刺さるか、定量的に把握できます。
簡単なアンケートを送り、その回答結果を元にセグメント作成を行うシンプルサーベイは特に新規登録されたワーカーさんの仕事歴の把握に活用しています。それにより、タイミー未経験の方でも的確なマッチングを図ることができるようになりました。
いずれにせよ、Brazeを基盤にした多様な取り組みの中で、常に意識しているのは、マッチング品質の向上というポイントです。ニーズや行動に応じたターゲットの絞り込みは、マッチング品質の向上において大きな意味を持つと考えています。
導入の大きな狙いがOne to Oneコミュニケーション確立ということもあり、効果の定量的な評価は難しいのですが、導入後の3カ月間で求人掲載件数が非連続に伸びた背景にBrazeによるマッチング品質の向上があったことは間違いありません。もちろん、営業努力も大きな役割を果たしたはずですが、「タイミーで求人するといい人が来るよね」という評価がなければこうした結果にはつながらなかったと考えています。
Braze導入後、タイミーを繰り返し利用するワーカーさんが加速度的に増えていることも効果の一つです。最初のマッチング体験への好印象が次回の利用につながっていると私たちは見ています。
付加価値の高い業務に求人の幅が広がったことも大きな効果です。例えばアパレル小売の場合、以前はカジュアルブランドが中心でしたが、販売経験者にリーチできるようになったことでより高い接客スキルが求められる高級ブランドからの引き合いも増えつつあります。
当社はBraze導入に合わせ、専任の担当者が施策立案からメッセージ作成までを行う体制を構築しています。それに伴い、カスタマーサクセスが直面する課題が担当者に持ち込まれ、メッセージ配信に留まらない改善策を提案し、密なコミュニケーションを通してマッチング品質が向上するという相乗効果が生まれた点も導入効果の一つと考えています。ちなみにBraze運用を担当するチームは、2023年度のベストイノベーターとして社内で表彰されています。
タイミーは新たな価値を次々に打ち出していますが、アプリを開かなければそれに気づいていただけません。休眠ユーザーやアプリ起動頻度が低いユーザーへのアプローチが今後の課題と考えています。具体的にはBrazeのオーディエンス連携を利用したSNSなどへの広告配信の最適化を通し、アプリを開かない層へのアプローチを強化していく予定です。
開くことが楽しみになる仕組みづくりも今後、取り組んでいきたい点です。タイミーを開くと今日は何があるのだろうというワクワク感を創出していきたいですね。
まず挙げられるのは事業者とワーカーのマッチング品質の向上。それが事業者の「タイミーで求人するといい人が来るよね」、ワーカーの「次もまたタイミーで働きたい」という評価につながっています。
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