CASE STUDY


トラストバンクが、ふるさと納税サイト利用者とのコミュニケーションをBrazeで最適化
データを統合 効果的な運用へ

課題


利用者のデータが複数のシステムに散在し、一元化できない状態だったため、コミュニケーションチャネルごとに情報発信の設定が必要でした。また、コミュニケーションの効果検証に工数と時間がかかっていました。

戦略


多様なマーケティングデータ(サービス利用履歴や所得額など)に基づいて、利用者ごとに異なるニーズに対応したコミュニケーション方法を個別に用意しました。例えば、控除上限額に応じて、コミュニケーションをパーソナライズ化してオススメする、といった施策を展開しています。

効果


ワンプラットフォームに利用者のすべてのデータを集約・統合可能に。メール、アプリなど、あらゆる発信の設定をまとめ、効率的な運用ができるようになりました。ほかにもAI機能を活用することで、デバイスごとの効果検証が不要になり、大幅な工数削減が実現しました。

パーソナライズされたコミュニケーションを追求したい

 ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」や、クラウドファンディング型でふるさと納税を募る「ガバメントクラウドファンディング®」など、ふるさと納税事業を中心に、自治体と協働し、地域の課題解決や経済の活性化につながる事業を幅広く展開する株式会社トラストバンク。

同社は2012年4月に設立され、同年9月に国内初のふるさと納税総合サイトとして「ふるさとチョイス」をスタートさせました。

「制度が始まって間もない時期から、ふるさと納税制度の趣旨に沿ったサービスの提供を続けています。利用者が寄付先や魅力的なお礼の品を探すための情報だけでなく、制度の趣旨や仕組み、納税の意義、寄付金の使い道など、ふるさと納税に関するさまざまな情報を発信し、理解を深めてもらうサイトとして運営しています」と語るのは、同社 チョイス事業本部マーケティング統括部 マーケティング戦略部シナリオデザイングループ マネージャーの齋藤 勇樹氏です。

ふるさと納税の本質は寄付です。自治体の課題解決のための取り組みや、災害復興支援などの目的で、応援したい自治体へ寄付ができる制度です。税収が減少している地域と、都市部との地域間格差を是正することを目的として作られました。

「ふるさと納税の本来の趣旨は、納税者が寄付先を選択することができ、応援したい地域の力になれるということです。そのため、寄付したお金が、いかに地域の課題解決や経済活性化に寄与しているのかを知ってもらうことも非常に大切である、と私たちは考えています。このような制度趣旨に沿った情報発信が、長期的には制度のさらなる発展や、寄付の拡大につながると信じています」と、齋藤氏は、さまざまな情報発信にこだわっている理由を説明します。

利用者の理解を深めてもらうには、継続的なコミュニケーションが不可欠です。とくに「応援したい地域」が利用者によって異なるふるさと納税では、パーソナライズされたコミュニケーションが欠かせません。そこでトラストバンクは利用者とのコミュニケーションを強化するため、2022年3月にBrazeを導入しました。

チョイス事業本部マーケティング統括部 マーケティング戦略部シナリオデザイングループ マネージャー 齋藤 勇樹氏
チョイス事業本部マーケティング統括部 マーケティング戦略部シナリオデザイングループ マネージャー 齋藤 勇樹氏

データ連携がスムーズで情報発信手段も豊富なBrazeを選定

 トラストバンクでは、Brazeを導入する以前から、他のソリューションベンダが提供するMA(マーケティング・オートメーション)を利用者とのコミュニケーションに用いていました。利用者が「ふるさとチョイス」上で閲覧した情報や、検索内容、寄付履歴などのデータをもとに、その利用者に適したバナーの掲示やコンテンツ配信などを行ったのです。 

 利用者とのパーソナルなコミュニケーションは、その人の属性だけでなく、サイト内でどのような行動をしたのか、どの自治体にいくら寄付したのか、といったさまざまなデータを掛け合わせるほどに精度が増します。ところが、Braze導入以前はそうしたデータ連携に想像以上に工数がかかってしまい、ターゲットに応じた情報発信が思うようにできなかったといいます。

 またトラストバンクは、「ふるさとチョイス」利用者とのコミュニケーションに、メール、スマートフォンアプリ、SNSなど、いくつかのツールを使い分けていますが、Braze導入以前では、それぞれにコンテンツの準備や発信を行わなければならず、もっと効率化できないかと感じていました。

大久保氏は、「利用者に関するすべてのデータが1つに集約・統合され、それをもとに、多様なコミュニケーションチャネルを使って一度に情報発信できるような仕組みが理想でした。そんなツールはないかと探したところ、Brazeに巡り会ったのです」と明かします。

 Brazeは、社内のあらゆるシステムやデータベースから利用者に関するデータを取り込み、セグメント(分類)を行ったうえで、それぞれのセグメントに応じたコミュケーションのシナリオ作成や、パーソナライズな情報発信ができるプラットフォームです。情報発信のためのコミュニケーションチャネルも、メールやスマホアプリ、SNSなどさまざまな種類が選べ、1つひとつのツールを個別に設定することなく、ワンプラットフォームですべての情報発信を処理することが可能です。

「他のソリューションベンダーからは、製品だけでなく、運用代行サービスまでパッケージで提供してもらえるという提案も受けました。ありがたいご提案の反面『ふるさとチョイス』は、制度や寄付先に関する情報など、ふるさと納税特有のコンテンツも運用しなければなりません。これをアウトソーシングするのは困難だろうと考え、他の製品に比べてデータ連携のしやすさや、利用できるコミュニケーションチャネルの幅広さが群を抜いていたBrazeを選びました」(大久保氏)

チョイス事業本部プロダクト統括部 プロダクト企画部 部長 大久保 諒氏
チョイス事業本部プロダクト統括部 プロダクト企画部 部長 大久保 諒氏

多様なマーケティングデータを活用してパーソナライズされた情報を発信

 2022年3月の導入以降、トラストバンクは「ふるさとチョイス」利用者とのコミュニケーションをパーソナライズするため、Brazeの活用を推進しています。その中心メンバーとして活躍するのが、チョイス事業本部マーケティング統括部 マーケティング戦略部シナリオデザイングループ マーケターの堤谷 草太氏です。

堤谷氏は、Brazeの特長であるデータ連携の活用例として、利用者の所得額データと過去の寄付履歴データを掛け合わせ、それに基づいてパーソナルな情報発信を行うという施策を挙げました。

ふるさと納税は、寄付者の所得額に応じて、所得税・住民税の控除上限額が変わりますが、それ以外にもライフスタイル、ライフステージなどユーザーごとにニーズが異なります。

「利用者の所得額データと寄付履歴データ、サイト内の閲覧履歴データ等をもとに、パーソナライズされた情報発信を行っています。これ以外にも、さまざまな仮説を立て、柔軟にデータを掛け合わせ、すぐに施策を実行できるのがBrazeの魅力ですね」と堤谷氏は評価します。

「他にもふるさと納税制度の特長として、申し込み締め切りが迫る12月がユーザーの利用がもっとも増える時期になります。この時期に、残りの控除上限額に応じてコミュニケーションをパーソナライズ化することで、利用者が求める情報を提供でき、サイトの利便性を高めることに貢献できていると実感しています。」と堤谷氏は語りました。

チョイス事業本部マーケティング統括部 マーケティング戦略部シナリオデザイングループ マーケター 堤谷 草太氏
チョイス事業本部マーケティング統括部 マーケティング戦略部シナリオデザイングループ マーケター 堤谷 草太氏

他の事業やサービスでもBrazeを積極的に活用したい

 もう1つ、堤谷氏がBrazeの機能の中で高く評価しているのがBrazeが提供するAIである、BrazeAI™を活用した機能です。

「ふるさとチョイス」の利用者は、主にPCで利用する方、メルマガを良く見る方、Appを良く使う方、PCから閲覧することが多い方など、様々なユーザーが存在します。つまりユーザーごとに利用率の高いチャネルが異なり、また、利用する時間帯もバラバラですので、チャネル別×配信時間帯といったABテストを行うことが当たり前になっていて、ABテストの工数や検証工数が大きくなっていました。

しかしBrazeを導入してからは、

「ユーザーごとに利用率の高いチャネル・時間帯などを、Brazeに搭載されているAIが学習・判定し自動で最適化を図ってくれるため、ABテストや効果検証の工数が大きく削減され、とても助かっています。」と堤谷氏は話しています。



今後のミッション達成に向けてBrazeのポテンシャルに期待

 トラストバンクは、今後Brazeをさらに活用して、コミュニケーションのパーソナライゼーションを加速させていく予定です。

堤谷氏は「まだまだ活用しきれていない外部データをAPIで連携・活用した施策は、今まで以上にユーザーへ有益な情報提供を行えたり、最適な接客施策を展開することができ、ユーザー体験の向上が見込めるため、より一層注力したいと考えています。

Brazeは位置情報データも活用する事ができますので、ユーザーの滞在エリアと自治体情報を繋げることで、地域とユーザーのエンゲージメントを強化することも見込めます。

地域とのエンゲージメント強化は被災地支援のような、緊急性と重要性の高い取り組みにおいても非常に大切なことですので、パーソナライズ化の推進と共に、より良いコミュニケーション、サービス設計の為にBrazeの活用の幅を広げていきたいです。」と話しました。

 一方、齋藤氏は「弊社は『自立した持続可能な地域をつくる』をビジョンに掲げ、ふるさとチョイスを通じて日本に寄付文化を醸成し、地域の活性化や地域の改題解決に寄与することを使命として事業運営を行っています。特に今年は、年始から能登半島地震が発生しましたが、ふるさとチョイスでのふるさと納税を通して、非常に多くの被災地支援のための寄付金が寄せられました。今後は、被災地支援のための寄付金を集めるだけでなく、今後の復興の様子を寄付者に対して発信していくような役割も担いたいと考えています。Brazeは、そのために非常に強力なツールと捉えています。

利用者に関するすべてのデータが1つに集約・統合され、それをもとに、多様なコミュニケーションチャネルを使って一度に情報発信できるような仕組みが理想でした。そんなツールはないかと探したところ、Brazeに巡り会ったのです


大久保 諒氏

チョイス事業本部プロダクト統括部 プロダクト企画部 部長

トラストバンクの成果

利用者ごとのデモグラフィック情報(居住エリア、所得額など)やサービス利用履歴(会員登録日時やアクセス履歴など)、寄付履歴などの情報をもとに、よりパーソナライズされたコミュニケーションを実現。