リテールおよびeコマース


小売に特化したマーケティング「リテールマーケティング」とは?必要性や基本について解説

Team Braze 作成者: Team Braze 2022/10/07

購買段階に最も近いタッチポイントである小売は、マーケティングの中でも重要な顧客接点の場です。
この記事では、小売に特化したマーケティング手法であるリテールマーケティングについて解説します。

リテールマーケティングとは

リテールマーケティングとは、その名の通り「リテール=小売」に特化したマーケティングを意味しています。小売というと売り場や接客のイメージがありますが、店頭での販促企画や店舗マネジメントもリテールマーケティングに含まれます。

昨今では消費者ニーズの多様化やDX化により小売を取り巻く環境も変化しています。従来型の接客手法を極めれば顧客は自ずとついてくるというものではなく、現代の顧客ニーズに合わせてブランド体験を提供することが、現代のリテールマーケティングには求められています。

リテールマーケティングの必要性

リテールマーケティングは、小売を中心としつつ流通チャネルも含めたマーケティング手法です。商品の仕入れや物流、販売などを効果的におこなうことが求められています。

昨今では、ポイントシステムを活用したID-POSや3rd partyデータを活用するケースも増えています。オンライン/オフラインの垣根も低くなり、その両者を行き来するクロスチャネルマーケティングも一般的になってきました。

また、以前は小売=販売チャネルのイメージが強かったですが、近年はPB(プライベートブランド)商品をメーカーと協業して開発をするケースもあります。これは、顧客に最も近いタッチポイントだからこそ顧客ニーズの吸い上げができ、商品化から販売まで一気通貫しておこなえることの一つの証明でもあります。豊富な商品知識を活用した接客に加え、顧客ニーズの把握や購買行動を起点とした売り場づくり・商品づくりが、今日のマーケティング活動においては必要とされているのです。

リテールマーケティングの基本

ここであらためて、リテールマーケティングの基本について把握しておきましょう。

小売業の類型

そもそも小売業とは、主として一般消費者を直接対象にする販売業を意味します。ただし、それはすべての小売業において定型的なものではなく、販売する商品や業態によって、仕入れ値や売価、仕入先や返品時の条件の違いなど、多くの商習慣の違いがあります。

同様に接客にも違いがあります。例えば、本屋では販売員が消費者に積極的に声をかけることはありませんが、洋服屋では消費者との対話が販売に直結する場合があります。このように扱う商材や業態の違いを知ることは、リテールマーケティングの第一歩となるものです。

マーチャンダイジング

マーチャンダイジングとは、商品を顧客に届けるための戦略です。以下の4点によって成り立っています。

  • 仕入計画:在庫過多にならないよう顧客の需要を見ながら仕入数量を計画

  • 在庫管理:在庫数量や保管場所など仕入れた商品の特性に応じた管理方法

  • 販売管理:販売数と在庫を管理。いつどのように管理するかを計画することも含む

  • 価格設定:適正価格の設定とキャンペーン特価などを管理・計画

ストアオペレーション

ストアオペレーションは店舗オペレーションとも呼ばれ、以下の3点によって成り立ちます。
  • ディスプレイ:商品を陳列するための棚作りや、商品を魅力的に見せるPOPの企画制作・設置のこと

  • 作業割当:販売担当の割り当てや、売場のディスプレイを誰がどのように作るかの作業を割り当てること

  • 人的販売:セールストークの展開やレジ周りでの対応などを計画

マーケティング

ひと口にマーケティングといってもそこには非常に広い領域が含まれますが、リテールマーケティングにおけるマーケティングは以下の4つがポイントとなります。

  • 顧客管理:レジでの購入者情報の管理、個人情報などの管理方法

  • 販売促進:年間での販促計画を立て販売するための月次キャンペーンや施策の計画

  • 商圏の設定と出店の基本的考え方の共有:出店エリアの特性や競合企業を把握し、誰にどのように売るのかを計画、社員・アルバイトメンバーに共有

  • 売場づくりの基本的考え方の共有:社員・アルバイトメンバーに、売り場づくりにおいて実施すべきことを共有

販売・経営管理

リテールマーケティングにおける販売・経営管理では、以下の4項目を念頭に業務を推進および改善していきます。

  • 販売管理者の法令知識:従業員が法令違反しないように導く

  • 販売事務管理に求められる経営分析:社員やアルバイト人件費を踏まえ損益計算をおこない、経営分析をおこなう

  • 店舗組織体制と従業員管理:責任者ポストやマネジメントの組織体制構築と従業員の勤怠管理等

  • 店舗施設の維持管理:日々の清掃やPOPや棚鮮度の維持など、顧客にとって好ましい状態を維持するよう管理


リテールマーケティングの資格は取るべき?

リテールマーケティングには、日本商工会議所が運営する「リテールマーケティング検定(販売士検定)」と呼ばれる資格があります。
リテールマーケティングの資格を取得すると以下の知識が身につきます。

  • 接客に関する基礎知識

  • 取扱商品に関する専門知識

  • 売場や店舗の管理能力

  • 経済の動き全体からみる店舗経営知識


リテールマーケティング検定取得者はいわば「販売のプロ」です。基礎知識を効率よく身につけたいのであれば、リテールマーケティングの資格を目指してみるのも良いでしょう。

リテールマーケティング検定の資格試験は1級・2級・3級があり、各級の合格の目安は以下の通りです。

  • 3級:売り場販売員レベル

  • 2級:商品管理ができるマネージャーレベル

  • 1級:店舗運営ができる店長レベル


2級と3級の合格率には毎年開きがありますが、40%〜70%台と比較的取得しやすい資格です。しかし1級は難易度が高く、容易に取得できるものではありません。1級資格の取得者は高い販売スキルがあり、店舗運営もできる高度な人材と見なされます。

受験者は小売従事者に限らず、卸売業、サービス業、流通業界に携わる人、小売・流通業界を目指す学生、現場を知りたい製造業の人まで、多くの人にとって有益な資格です。資格保有者は「販売士」として各分野で活躍しています。


リテールマーケティングにはマーケティングテクノロジー活用が不可欠

これからのリテールマーケティングには、従来の手法からさらに進化した次世代のマーケティングテクノロジーの活用が不可欠となっています。その事例をご紹介します。

マーケティングテクノロジー活用の事例紹介

ファッションブランド「Pomelo」は、マーケティングテクノロジーとしてBrazeを導入することでリテールマーケティングを成功させているブランドです。Pomeloは、顧客の購入履歴や商品の好み、インタラクションに関する一人称データを多く収集していましたが、マーケティングテクノロジーを駆使してデータの合理化やフォーマット化を実施。プロモーション活動を強化することで300%のコンバージョンアップと紹介プログラムの認知向上に成功しました。従来は対話を通じて得ていた顧客の好みなどを購入履歴やインタラクションから推測し、店頭と同じブランド体験を他のチャネルでも実現しています。

リテール&Eコマース | Braze

US事例:ファッションブランド・Pomelo社がBraze をはじめとするマーケティングソリューションの活用でコンバージョンを300%増加


まとめ

この記事では、リテールマーケティングとその効果的な実施に必要な基礎知識について解説しました。

小売業を中心とする流通業界の環境は、消費者ニーズの多様化やDX化により急激に変化しています。その変化に対応し顧客体験を設計するためにはリテールマーケティングの基礎知識が重要です。最近では、ポイントカードなどを利用して顧客データを蓄積し、顧客一人ひとりにパーソナライズされたキャンペーンを実行することなども可能となっています。しかし、その成功のためには顧客理解が重要であり、顧客の態度変容を起こすためにはリテールマーケティングを活用したマーケティングテクノロジーの導入が不可欠な時代となっているのです。

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