プッシュ通知のないモバイルなど想像しがたいものかもしれません。このパワフルなメッセージングチャネルが最初に注目されたときには、モバイル向けのアウトリーチタイプとして際立っていました。今ではウェブやウェアラブルでもプッシュ通知を使えるようになっていますし、時代のモバイルマーケティングツールキットに欠かせないものになりました。プッシュ通知は、再エンゲージメントキャンペーンをパワーアップさせ、数多くのブランドの複数チャネルメッセージング戦略をサポートしています。
もっともその効果は、ブランドの顧客が受け取りを承諾したときに限られます。Braze(ご存じのとおり、このブログを書いている私たちですが・・・)によると、プッシュ通知を有効にしているのは、iOSユーザーのわずか40%、Androidユーザーのわずか60%だとわかりました。ブランドが、プッシュ通知の有効化を顧客に配慮しながら依頼できれば、プッシュオプトイン率を向上させることができます。それでも、まだ道半ばに過ぎません。オプトインし続けてもらうためには、受信者にとって関連性があり、価値のあるプッシュ通知を送る必要があるのです。現時点で、78%の人たちが、自分が受け取るプッシュ通知の大半が的はずれだと報告しています。特に不愉快になるようなメッセージを受け取ると、顧客の4分の3以上がプッシュ通知をオプトアウトするか、アプリをアンインストールしてしまうことを考えると、これは大きな問題です。
分かったこと
1. 最高のプッシュ通知を出す業界は特にない
ブランド | 業界 |
Swarm | ソーシャルネットワーキング |
Timehop | ソーシャルネットワーキング |
iHeartRadio | 音楽&オーディオ |
iMessage | メッセージング |
Argus | 健康・フィットネス |
Duolingo | 教育 |
The Outnet | ショッピング |
MicCheck | ニュース |
Tinder | ライフスタイル |
社員が注目したプッシュ通知は、幅広い業界から送信されていました。ソーシャルネットワーキングのアプリからのプッシュ通知は2名の社員が取り上げており、回答数1を上回った唯一の業界でした。ニュースアプリか、ショッピングアプリか、教育アプリか、そのブランドの業界が何であれ、受信者に訴えかけるプッシュ通知を送ることは可能なのです。
2. ブランドは多数のプッシュ通知を発信している
ブランド | プッシュ通知の頻度 |
Duolingo | 毎日 |
Timehop | 毎日 |
The Outnet | 毎日 |
iMessage | 毎日 |
iHeartRadio | 2-3日ごと |
Swarm | 2-3日ごと |
MicCheck | 隔週 |
Argus | 月一回未満 |
Tinder | 月一回未満 |
社員が報告した、最高のプッシュ通知を出している9つのブランドのうち、44%が毎日のようにプッシュ通知を送り、22%が2~3日おきにメッセージを届けていました。「プッシュ通知疲れ」がエンゲージメントを損ない得る一方で、受信者にとって価値のあるメッセージであれば、毎日のようにプッシュ通知を送っても差し支えないようです。
3. プッシュ通知では絵文字が流行っている
ブランド | 絵文字の利用 |
iHeartRadio | No |
iMessage | No |
Swarm | No |
Duolingo | No |
MicCheck | No |
Tinder | Yes |
Argus | Yes |
Timehop | Yes |
The Outnet | Yes |
ここしばらく絵文字人気の高まりについて取り上げてきましたが、今回得られた結果は、その重要性を十分に裏付けるものになりました。取り上げられたプッシュ通知の44%が絵文字を使っており、Timehopの1つのメッセージには、その要点を強調するため、3つも絵文字(💥💥💥)が使われていました。
4. プッシュ通知は、短ければ最高の効果を生むが、長いからといって効果が出ないとは限らない
絵文字の最大のメリットのひとつは、国や人物や感情といった複雑な事柄を、わずか1文字(全角)で表現できることです。AndroidとiOSでは12文字未満のプッシュ通知が最高のパフォーマンスを出すことがわかっているため、これは大きな利点です。しかし今回の調査結果から、12文字を超えるプッシュ通知であってもインパクトを与えられることがわかりました。実際、当社の社員が最高と回答したメッセージのうち、12文字未満のものはたった1件で、iMessageのシンプルなメッセージ通知の11文字だけでした
5. 最高のプッシュ通知は、ユーザーが興味を持っている分野であれば開封される
Brand | Push Opened |
iHeartRadio | Yes |
iMessage | Yes |
Swarm | Yes |
Argus | Yes |
Timehop | Yes |
The Outnet | Yes |
MicCheck | Yes |
Tinder | Yes |
Duolingo | No |
当社の社員は、お気に入りのプッシュ通知を賞賛するだけでなく、行動も起こしていました。当社の社員が取り上げたプッシュ通知の87.5%は開封もされていました。唯一の例外はDuolingoからの行動喚起を伴なわないメッセージでした。
効果的なプッシュ通知とは:Braze社員が語る
回答者:Sarah Madden、ビジネス開発担当
アプリ:MicCheck
気に入っている点:私のためだけに用意されたようなプッシュ通知がとても気に入りました(ディベートを観るのが好きなのですが、ケーブルテレビを引いていないのです。20代前半の世代はほとんどそうですね)。このプッシュ通知が私だけに送られているのかどうかを知る方法はないのですが、これこそ本当にパーソナライズされたメッセージだと感じました。ちょうど「どこでどうやってディベートを観よう?私が観るものはすべてインターネットを使っているのに!」と考えていた時にこのプッシュ通知が来てとても有意義でした。
回答者:Guillermo Olortegui、ビジネス開発担当
アプリ:Argus
気に入っている点:ここではいくつかの要素が働いています。使ったことがなかった便利な機能を、シンプルなメッセージで教えてくれます。例えば、歩数計機能しか使っていないユーザーなど特定のセグメントにターゲットを絞り、アプリをもっといろいろ使ってもらうように促すのはうまいやり方ですね。タイミングもよく考えられています。日曜日の夜9時半は、大半のユーザーがそろそろ寝ようかなと思う時間だから無難でしょう。
回答者:Rachel Welber、カスタマーサクセス・マネジャー
アプリ:iHeartRadio
気に入っている点:コピーがクレバーだと思いましたし、「女性史月間」っていうテーマに関連させて、はっきりした行動喚起がありました。たくさんの「国際女性デー」のプッシュ通知を受け取りましたが、どれひとつ、ブランドに結びつけたものはありませんでした。
回答者:Patrick Yeung、サポートエンジニア
アプリ:Timehop
気に入っている点:いつも決まったタイミングでリマインダーが届いたり、昔のFacebookの投稿を見せられても、その日にいったい何を投稿したのかわかりませんよね。毎日、Timehopのプッシュ通知が届きますが、ぜんぶカスタマイズされています。しかもどれも短くて、ポイントを押さえています。
回答者:Danna Ngo、マーケティングアソシエイト
アプリ:The Outnet
気に入っている点:商品よりも、イベントを推しているので興味を持ちました。何のイベントか知りませんでしたが、出かけて確かめたいと思わせるのには十分でした。おまけに、私はインスタグラマーでもあるので、ますます興味が湧きます。
回答者:Stella Kim、ソフトウェアエンジニア
アプリ:Duolingo
気に入っている点:最初は、アプリが毎日のようにスペイン語を練習するようにプッシュ通知を送ってきましたが、どれにもレスポンスしませんでした(練習もしませんでした)。というのも、今週はとても忙しかったものですから。そうしたらこのメッセージが届いたんです。おもしろいと思いました。メッセージでは効果がないと気がついて、もう解放しますよと教えてくれたみたいです。Duolingoはアプリに戻って来させようとしながらも、しつこくならない程度にプッシュ通知を出すところも気に入りました。彼らが私のことを忘れたわけじゃないと、分かったところもいいですね。
回答者:Logan Yu、サポートエンジニア
アプリ:Swarm
気に入っている点:アプリを楽しんで使っていたのですが、そのことをすっかり忘れてたんです。このアプリで何がしたかったのかを具体的に思い出させてくれて、アプリに引き戻してくれたところが気に入っています。
回答者:Charles Lerner、ビジネス開発担当
アプリ:Tinder
気に入っている点:本当に優れた再エンゲージメントです。Tinderを1ヶ月近くも使わなかった後で、戻って来させたんです。
回答者:Toks Fifo、ソフトウェアエンジニア
アプリ:iMessage
気に入っている点:メッセージングは、すぐに見て対応しないといけないメッセージもあるので、プッシュ通知が必要だと思える数少ないアプリのひとつだと思います。このアプリで気に入っているのは、必要最低限の情報を得られること、つまり、メッセージの発信者がわかるところです。(iMessageは、設定で、コンテンツを表示するように切り替えることもできます。パーソナライズできるところもいいですね。)
最後に重要なこと
全てのブランドにとって完璧である、というプッシュ通知はありません。ブランドが伝えたいこと、バリュープロポジション、カスタマーミックスはいずれも唯一無二であり、プッシュ通知も同様です。メッセージを送信する目的に関わらず、受け取る人にとって価値があり関連性が高いことが重要です。そうでなければ、ブランドのアウトリーチは苦戦することになるでしょう。
プッシュ通知は、顧客が自分の役に立つと感じれば、効果を生みます。当社の社員が心惹かれたプッシュ通知は、次のようなメッセージでした:(1)注意を惹く、(2)本物の価値を提供する、(3)ブランドの働きかけを進んで受け入れられるタイミングで届く
最高のプッシュ通知を出すにはどうすればいいのでしょうか?
- 送信するプッシュ通知をテストして、エンゲージメントを最大化しましょう
- 送信時間の最適化機能を使って、顧客がいちばん引き込まれやすい時間帯にプッシュ通知を受け取れるようにしましょう
- メッセージングのやり方が、プッシュ通知のオプトアウトやアプリのアンインストールに影響していないか注意を払いましょう
- しっかりと目を離さずに、顧客のブランド体験を見守りましょう
- 最後に、ひとりよがりにならないように!ブランドのカスタマーミックスも、顧客の好みも、時間が経つにつれ変わっていきます——変化に合わせて、行動を起こして行きましょう。
*本ブログ記事は2016年3月時点の英語コンテンツを翻訳したものです
トッド・グレナン
ニューヨーク在住のライター兼エディター。Brazeでモバイルマーケティングやカスタマーリテンション、新しいテクノロジーの記事を書いていない時は、第二次大戦に関するWikipediaの記事を読み漁っている。