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City × City Japan 基調講演レポート:カスタマーエンゲージメントの未来を考える

Team Braze 作成者: Team Braze 2023/08/14

2023年7月12日、Braze主催、日本最大級のマーケティングイベントであるCity × City Japanが開催されました。猛暑のなか、多くの方に来場いただき、基調講演からユーザーセッション、パートナーセッションと幅広い内容をお届けしました。

今回は、基調講演のひとつ、BrazeのCEOで共同創業者でもあるビル・マグヌソンが、「カスタマーエンゲージメントの未来を考える」というテーマで講演した内容をレポートしたいと思います。

Braze CEO兼共同創業者 ビル・マグヌソン
Braze CEO兼共同創業者 ビル・マグヌソン


まずはじめに、ビルはこれまでのBrazeの歩みを振り返りながら、カスタマーエンゲージメントに対する情熱と、クリエイティブとテクノロジーへの取り組みについて触れました。またビルが初めて日本を訪れた20年前のことや東京の魅力について写真を見せながら語りました。

そして、2020年に起こった変化や課題にも触れつつ、そこから生まれるチャンスの重要性を強調しました。彼は、困難な状況から新しいアイディアやサービスが生まれ、個人の成長や技術の進化が促進されることを語りました。これらの変化がカスタマーエンゲージメントの分野でどのような革新をもたらすのか、その可能性について興味深く語りはじめました。


Brazeの進化

本題に入る前に、Brazeの進化についても話しました。Brazeは設立から12年が経ちましたが、その間に私たちは業界の変化に敏感に対応してきました。最初の革新的な考えは、新しいビジネスがモバイルファーストで生まれるという点でした。そして、モバイル技術の進化が企業の姿勢も大きく変えることを予見しました。こうした変化を通じて、私たちは常に顧客エンゲージメントの未来を考えてきたのです。

続いて、特に過去数年で大きな変化 ーファーストパーティーデータの活用方法ーがあったと話します。2011年以来、Brazeはファーストパーティーデータを使い、顧客獲得を強化する方法を追求してきました。商品の購入や使用、評価を理解し、それに基づいて価値ある体験を提供することを考えました。

またファーストパーティーデータに加えて、顧客獲得においてサードパーティーデータも重要な役割を果たしました。以前は、サードパーティーデータを購入し、ファーストパーティーデータと組み合わせることで効果的な顧客獲得を目指しましたが、従来のマーケティングの枠組みを打破することは容易ではなかった、と語ります。


企業はファーストパーティーデータを、サードパーティーデータの問題を補完するために活用しています。これをステージ1とし、ステージ2ではファーストパーティーデータを直接管理し、顧客との関係を強化する方法に進化しています。エンゲージメントツールを活用して、顧客との相互作用から得られるバリューを理解しようとしています。

ステージ3では、ビジネスモデルの継続的な変革を重視しています。しかし、サードパーティーデータには問題もあり、コストや効果の低さ、個人情報の問題などが指摘されています。ファーストパーティーデータのエコシステムがサードパーティーデータを補完するための効果を持たなくなり、法的な制約も浮上しているという懸念もあると伝えました。

KFCフィリピンの事例

続いて、ファーストパーティーデータ活用の、実際の事例として、KFCフィリピンを紹介しました。KFCは、オーディエンスとの連携機能を大幅に改善し、FacebookやGoogleなどのサードパーティーのデータを活用し、キャンペーンを展開しました。さらに、顧客の属性を明確に把握することで、顧客獲得のコストを50%削減する成果を達成しました。この成功は有償の顧客獲得事例として注目されています。カスタマーエンゲージメントチームとの協力も鍵となり、データセットの収集とサイロ化の解消に取り組みました。

>>KFCフィリピンの事例はこちら

しかし、現時点では、ファーストパーティーデータとサードパーティーの戦略を統合して全てのブランドが使うことができるにも関わらず、活用することは難しい状況だとビルは語ります。その主な理由は、チーム間のコミュニケーションが不足しており、データのシステムがうまく連携していないことに起因していると言います。

Disneyの事例

続いて、もう一つの事例を紹介しました。

それが、ディズニーです。私たちは子供の頃からディズニーと関わりがありますが、10年、20年前はデータが限られていました。映画やテーマパークまたは、グッズを購入する店舗など、異なる場所でディズニーを楽しむ中で、ディズニーとして、直接の顧客データはなく、データはばらばらになっていました。

しかし、その状況が変わったのが、ディズニープラスというストリーミングプラットフォームの登場です。ファーストパーティーデータを活用して顧客との関係性を新しく築くことができるようになり、よりパーソナライズされた体験や進化したビジネスモデルを提供できるようになったのです。

ディズニープラスを通じて、顧客との関係性を構築し、価値を提供するためのフィードバックループを形成しました。実は、この戦略は、実際にはものすごく昔からあったと、ビルは手書きで書かれたイラストを見せながら説明しました。これは、50年以上も前に書かれたものだということです。

ディズニーの世界にある、全てのさまざまなものがフィードバックループのような形でさまざまな角度から、お客様との関係というものを示しています。

この例からわかるように、ファーストパーティーデータへの投資が直接的なアクションを可能にし、将来の成長への道を切り開いていると、ビルは強調しました。

さらに、レストラン、自動車業界など、さまざまな分野でファーストパーティーデータの活用が進んでいると、ビルは言います。

レストラン業界もモバイル注文やロイヤリティプログラムを導入し、顧客との接点を強化。自動車業界でもモバイルアプリを通じて顧客とのコミュニケーションを進化させ、新たなビジネス機会を創出しています。ファーストパーティーデータの活用により、顧客との関係性を深め、ビジネスモデルの拡大が実現しているのです。

ファーストパーティデータ投資によるチームの進化


しかし、データ活用は技術だけでなく、より重要なのは、チームやスキルセット、組織の変革だとビルは言います。そのチームの進化をステップに分けて説明しました。

ステップ1:獲得/リテンションチーム間、およびデータユニバース間のコラボレーションを拡大する。

ステップ2:シームレスなカスタマー・エクスペリエンスを提供するために、メッセージ・メディアや製品のデリバリーにおけるチームのサイロ化を解消する。

ステップ3 - ビジネス進化を推進するための実験的マインドセットとアジャイル手法の採用


ビルはさらに、企業の成功には、強固なチームと組織が不可欠、その中で、新たなスキルセットが要求され、データ駆動型アプローチの進化が役割を変化させる、と付け加えました。またCanvasのようなビジュアルデザイン環境の進出も見られます。こうした変化により、カスタマーエンゲージメントはあらゆるところで発生し、AIやプログラミングなど多様な要素が関与してくるでしょう。

多くの実践と良好なエンゲージメントを通じて、利益につながる成果を求める動きが強まっていくと言います。


プロダクト、データ、エンジニアリング・チームとの緊密な連携が迅速な進化を可能に


一番成功を収めているお客様は、特にコラボレーションというところを重要視し、新たなことにトライし、実験し、アジャイルに行動し、そこから教訓を得て新たなアイディアをさらに生み出そうとしていると言います。それは、ビジネスをとにかく進めようという考え方、熱意というのがその源泉にあると言います。

また、従来のマーケティング担当者だけでなく、プロダクトやエンジニアリング、ビジネスインテリジェンス、データエンジニアリングチームなど、多くの関係者がBrazeを活用する横断的なチームの台頭が見られるといいます。お客様が時間をかけてデータ中心主義になり、迅速な実験に傾倒し、複合的な利益が生み出す多大な価値を享受するようになるのを見てきました。

そして、この社内でのコラボレーションを、より良くしていくという連携も必要になってくるでしょう。これを推進する要素として、AIに関する研究開発も行われています。最近、SageAIという、Brazeが何年もかけて行ってきたAIへの投資を集結したプラットフォームをリリースしました。

AIの話は次のセッションのジョンに任せるということで、最後に、ビルより、Brazeにとって日本のマーケットは世界でも最も成長の著しいマーケットで、非常に重要であり、今後、何年間もコミットメントを果たしていきたいという言葉で、締めくくりました!


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