Brazeの構築


最適なマーケティングツールを組み合わせ、顧客体験を最適化、ビジネス成果に繋げる 〜 Brazeと相性のよい「仲間たち」

Taguchi Makoto 作成者: Taguchi Makoto 2024/12/04

マーケティングに関わる皆様は特に、データ基盤や分析のための製品の名前を耳にする機会が多いのではないでしょうか。そんな中で、「このツールはなんのためのものだろう?」「どうやって使いこなせばいいんだろう?」と思ったことはありませんか?

クラウドサービスが主流となった今日では、各カテゴリで最良の製品を組み合わせて基盤を構築する「ベスト・オブ・ブリード」の考え方が主流となり、Brazeを含むマーケティング技術スタックにおいても、様々なツールを併用・連携することが一般的になっています。

その一方で、現場では「様々な製品を利用しているが、実際にどう組み合わせて活用していくべきなのか」が難しいという声をお客様から聞くことがあります。

私自身もBrazeの導入支援をさせていただく中で、他社のツールについて学んだり、こういう使い方をするのかという発見が日々あります。


Brazeと相性の良い「仲間たち」

この記事では、Brazeの「仲間」である以下のカテゴリーのツールについて、主にBrazeとの連携という切り口から解説します。

  1. クラウドストレージ

  2. データウェアハウス(DWH)

  3. データ可視化(BI)

  4. プロダクト分析

  5. モバイルアトリビューション(MMP)

注:あくまで、Brazeとの併用の観点での概要の解説となります。網羅的でなく各製品の特徴までは抑え切れていない可能性がございます。詳細につきましては、ツール各社にお問い合わせください。

Brazeと各ツールの連携におけるアーキテクチャ構成例


1. クラウドストレージ

クラウドストレージは、企業データの長期保存やアーカイブ、共有に利用されるプラットフォームで、分析やバックアップ用のデータを効率的に管理できます。

将来的に分析に使えるであろうデータの一時的な保管や、ユーザーレベルでの詳細なイベントデータの出力先としてお使いいただくケースが多いです。

主な製品名
Amazon S3, Google Cloud Storage, Azure Blob Storage

ツールにより解決できる課題

企業が扱うデータは年々増大していますが、クラウドストレージは必要に応じて容量を拡張できるため、極めて低コストにて柔軟なデータ保存ができます。

クラウドストレージは非構造化データ(画像、ビデオ、ログデータなど)の保存に最適化されており、大規模なデータでも検索、解析、取り出しが容易になります。これにより、データ分析や機械学習といった用途にも柔軟に対応できます。

Brazeとの連携方法とそのメリット

Brazeが持つデータ連携機能「Currents」の活用で、Brazeのメッセージングエンゲージイベント(各チャネルにおけるクリックやインプレッションの情報)やユーザーイベント(セッション開始・終了やカスタムイベント)のローデータをクラウドストレージにストリーミングできます。 このローデータを蓄積しながら、例えば必要なデータをデータウェアハウスにインポートすることで、データ分析に使うことができます。

2. データウェアハウス(DWH)

データウェアハウス(DWH)は、企業全体のデータを一元管理し、解析やBIツールへのデータ供給を担うプラットフォームです。SnowflakeやGoogle BigQueryなどのDWHは、大規模データの効率的な集計・分析を可能にします。DWH上では顧客IDやデバイスID、内部IDが用いられ、異なるシステム間のデータ統合を通じて迅速な意思決定をサポートします。

主な製品名
Google BigQuery, Snowflake, Amazon Redshift, Databricks

ツールにより解決できる課題

データが各部門やツールに分散されていると、データ分析や統合が難しいという課題があります。DWHは、顧客IDや内部IDをキーとして各データソースを統合し、意思決定に必要なデータの一貫性と精度を確保します。これにより、大規模データの迅速なクエリやパフォーマンス向上が可能です。

Brazeとの連携方法とそのメリット

DWHとBrazeを連携することで、DWHに格納されている顧客データを用いたBrazeのターゲティングやパーソナライズが可能となります。例えば、SnowflakeとBrazeを連携させると、顧客セグメントデータをBrazeにインポートし、セグメントに基づいた効果的なキャンペーン設計や分析が実現します。


3. データ可視化(BI: Business Intelligence)

BIツールなどと呼ばれることが多いかと思いますが、膨大なデータを視覚的に表現し、ビジネス上のインサイトをわかりやすくするプラットフォームです。BIツールのダッシュボードやレポート機能を通じて、データ分析結果を一目で把握できるため、非エンジニアでもデータを活用しやすく、データをもとにした迅速な意思決定や運用上のアクション・施策アイデアの実現を促進します。

主な製品名

Looker, Tableau, Power BI

ツールにより解決できる課題

データは多様なシステムやプラットフォームから発生しますが、分散したデータの統合・分析は困難です。BIツールは異なるデータソース(DWH、クラウドストレージなど)からデータを取り込み、一元的に分析できるようにすることで、BIツールはチャートやグラフ、地図などを用いてデータを視覚化し、誰でも直感的に理解できるようにします。また、BIツールはリアルタイムデータを自動更新し、業績や進捗を常にモニタリング可能にしますので、機会の損失やリスクの早期発見につながります。

Brazeとの連携によるメリット

Brazeのみのデータであれば、Brazeの管理画面上でもマーケティング施策の効果検証などの分析はある程度可能ですが、他のツールのデータの結合させたり、企業固有のニーズに合わせた自由な切り口での分析・レポーティングにはBIツールが必要となります。

BIツールはDWHを基盤として機能することが多いため、特にBrazeからのリアルタイムのユーザーレベルデータをCurrentsやSnowflakeデータ共有によりDWHに格納した上で、そのデータをBIツールで分析するケースが多いようです。

またBIツールでの分析の結果として、リターゲティングにより高いコンバージョンが見込める顧客セグメントを発見できるかもしれません。Lookerの場合にはLooker ActionsによりBrazeへのセグメント連携が可能です。

4. プロダクト分析

プロダクト分析ツールは、ユーザー行動を測定・分析し、プロダクトの改善に役立てるプラットフォームです。UXテスト、行動分析、A/Bテストを通じてユーザー体験を最適化します。

主な製品名
Amplitude, MixPanel, Contentsquare

ツールにより解決できる課題

ユーザー行動やニーズの把握が難しいという課題を、プロダクト分析ツールが解決します。カスタマージャーニー全体をモニタリングし、ユーザーの離脱ポイントやコンバージョンにつながるイベントや、逆にボトルネックとなっている箇所の特定に活用できます。

また、コホート分析やファネル分析を通じてユーザーエンゲージメントとリテンションを最適化し、ユーザーフローや収益増加を図ります。

Brazeとの連携方法とそのメリット
Brazeのメッセージエンゲージメントイベントを、プロダクト分析ツールが持つアプリ・サービス内でのユーザーレベルデータと組み合わせることで、ユーザーの行動に基づいたリアルタイムのキャンペーン配信やパーソナライズができ、エンゲージメントの向上や離脱防止に繋がります。

具体的には、プロダクト分析ツール側で作成したコホートをBrazeに連携し、セグメントとして利用し、プロダクト分析の結果をBrazeの施策に反映できます。

また、Amplitude, MixPanelには、Currentsにてメッセージエンゲージメントイベントのデータを直接連携することも可能です。


5. モバイルアトリビューション(MMP: Mobile Measurement Platform)

モバイルアトリビューションは、どの広告やマーケティング施策が、アプリのインストールや購入などのコンバージョンイベントに貢献したかを追跡するためのプラットフォームです。また、広告クリックやメールでのリンククリックの際、モバイルアプリを直接起動し、アプリ内の特定のページに遷移させるディープリンク機能を提供します。

主な製品名

Adjust, AppsFlyer

ツールにより解決できる課題

様々なメディアでの広告・プロモーションを併用するモバイル広告において、それぞれの効果を正確に把握することは困難です。MMPはデバイスID(IDFA、Google広告ID)やクリックIDの活用で、どの施策がユーザ獲得やコンバージョンへの効果が大きかったかを計測できます。既存のユーザーに対しては、ディープリンク機能によるシームレスなアプリ内への誘導も行うと同時に、そのリターゲティング施策の効果計測もできます。

Brazeとの連携方法とそのメリット

ユーザーごとにアトリビューションデータが取得できている場合、Brazeとの連携で、そのデータをセグメントとして利用でき、メッセージのパーソナライズに活用できます。例えば、あるユーザーのアトリビューションデータが、インフルエンサーを起用した広告キャンペーンと紐づいている場合、そのインフルエンサーのファンである可能性が高いと判断できます。このユーザに対しては、Brazeによるアプリ内メッセージや、フィードやバナーの形でアプリ内で表示するコンテンツカードでも、そのインフルエンサーを活用した施策を優先的に配信した方が、リテンションやその後のコンバージョンに対し、高い効果が期待できるはずです。

また、Universal LinksやAppLinksを利用したアプリへのディープリンクの実装は工数がかかることがありますが、MMPであれば比較的容易に実現できます。Brazeによるメール施策の中でもMMPにより発行されたURLを利用し、ディープリンク機能を活用することができます。

技術的な選択 < 顧客体験とビジネス成果

現代のマーケティング活動では、ツール同士の連携は単なる技術的な選択ではなく、顧客体験を最適化し、ビジネス成果を向上させるための戦略的な要素となっています。

企業が抱える課題や目標に応じ、最適なツールを選択し、統合的に活用することで、競争力のあるマーケティング基盤を構築できます。そのためにはツールの特性を理解し、適切に組み合わせていくことが、鍵となるでしょう。

当記事では、多くのお客様にお使いいただいたているツールを中心にご紹介しました。他にもBrazeと連携可能なソリューションは多数ございます。詳細は以下のページをご覧ください。

https://www.braze.com/docs/partners/home

Brazeとその仲間のツールを組み合わせてご活用いただくことで、皆さまのビジネスにとって有意義な成果をもたらすことを願っています。



Taguchi Makoto

Taguchi Makoto

新卒にて日本IBM入社。ITアーキテクトやPMとして、金融系の大規模システムの開発や、多業種にわたり、ビッグデータ基盤の移行、ETLシステム構築、マスターデータ管理システム構築を経験。その後AppsFlyerにて、CSMおよびソリューションアーキテクトとして、モバイルアプリのユーザ獲得施策支援や導入・移行のための技術支援を担当。現在Brazeでは、ソリューションアーキテクトとして、Brazeを初めて導入するお客様の技術支援をしております。


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