データや情報があふれる昨今、データドリブンマーケティングの重要度が非常に高まっています。
この記事では、データドリブンの意味やデータドリブンマーケティングの重要性、導入するメリット、実施の流れや成功させるポイントを解説します。また併せて、データドリブンマーケティングを成功させた企業の事例もご紹介します。
データドリブンマーケティングとは?
まずは、データドリブンの意味やデマンドドリブンとの違いについて解説します。
1. そもそもデータドリブンとは
「データドリブン(Date Driven)」とは、「データ駆動」、つまり、意思決定の判断軸にデータを活用するマーケティング手法や経営手法のことです。
2. デマンドドリブンとの違い
「デマンドドリブン(demand driven)」とは「要求駆動」のことであり、データドリブンと反対の意味となります。データドリブンは「データ」が出発点になるのに対し、デマンドドリブンは「要求」が出発点です。データではなく人の感覚的、また経験値的な要素が起点となります。
データドリブンマーケティングの重要性とは
データドリブンマーケティングは近年非常に重要性を高めています。その背景には、企業が得られるデータが格段に多くなったことがあります。Googleアナリティクスなどの解析ツールやマーケティング効果測定ツールの普及に加え、外部の3rd partyデータを取り扱うことによって顧客行動のデータ化も可能になりました。
そうしてさまざまなデータを収集・分析できるようになったことで、従来では把握できなかった顧客行動を可視化できるようになりました。以前は勘や経験に基づいたデマンドドリブンの意思決定をせざるを得ませんでしたが、データを活用した最適なマーケティング施策が実行できるようになったのです。
データドリブンマーケティングのメリット
データドリブンマーケティングは顧客の思考や行動に基づいたマーケティングのため、導入することのメリットが数多くあります。ここではデータドリブンマーケティングのメリットを4つご紹介します。
1. 顧客満足度の向上につながる
一つめのメリットは、顧客満足度の向上です。根拠のないマーケターの勘や経験によるアプローチではなく、顧客に喜ばれる施策が実現できるようになることで、満足度の向上を図ることが出来ます。
2. 属人化が解消できる
属人化が解消できるのもデータドリブンマーケティングのメリットです。経験値や勘に頼らざるを得ないデマンドドリブンマーケティングでは属人化が避けられません。一方、データドリブンマーケティングでは客観的な有効データに基づき施策立案や意思の決定がなされます。
3. 施策の課題を洗い出せる
データドリブンマーケティングでは、実行した施策の課題を洗い出すことができます。施策を行っても効果がわからない、改善策が見出せないという状況から脱却できるメリットがあります。
4. DX推進につながる
データドリブンマーケティングでは、デジタルマーケティングの施策が多く活用されます。DX推進にもつながるため施策結果が高速化されたり、高速でPDCAを回すことが可能になったりします。
データドリブンマーケティングの流れ
ここからは、データドリブンマーケティングを実行する際の具体的な流れを解説します。
1. 目標の設定
データドリブンマーケティングの大前提として必要となるのが、「KPIツリー」が正しく組み立てられていることです。KGI(重要目標達成指標)を達成するためのKPI(重要業績評価指標)や各KPIを達成するための各指標をツリー構造でつなげ、その中のどの部分の目標となるのかをクリアにしたうえで目標設定を行います。
2. データの収集・見える化
データドリブンマーケティングにはデータ収集が欠かせません。収集されるデータは、ユーザー属性データや行動特性データまでさまざまあります。データが収集されたら、その膨大なデータをマーケティングで活かすために加工し「見える化」します。
3. 得られたデータの分析
次に、見える化したデータを分析します。分析データから課題と新たな仮説を見出し、施策立案や既存施策のブラッシュアップを行うことになるため、このデータ分析のステップは欠かせません。
この分析には、スキルやノウハウが必要です。「データサイエンティスト」や「データアナリスト」と呼ばれる専門スキルを持った人材の確保も必要になります。
4. マーケティング施策の立案・議論
データの分析が完了したら、マーケティング施策の立案のステップに進みます。デマンドドリブンマーケティングの場合はいきなり施策立案から始まることが多々ありますが、データドリブンにおいては得られたデータ分析の内容から施策の立案を検討します。施策の立案においては使用するデータの根拠があるため、効率性の高い施策を検討することが可能です。
5. 施策の実施・PDCAサイクルを回す
立案した施策をいよいよ実行するフェーズです。この段階で最も重要なのが、施策の実行後に必ず効果検証を行い、改善へとつなげ、PDCAサイクルを回すことです。
データドリブンマーケティングを導入する目的は、定めたKPIを達成し成果に繋げることです。施策立案や施策の実行で終わるのではなく、PDCAサイクルを回して次のアクションや改善ポイントを生み出していきましょう。
データドリブンマーケティングを成功させるには
データドリブンマーケティングを成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。そのポイントを2つ解説します。
1. データの可視化や分析後の活用がポイント
データ収集や分析で作業が止まり、施策に活用できずに失敗してしまうケースは決して少なくありません。データドリブンマーケティングでは、データの収集や分析をすることがゴールではなく、そのデータをいかに活用できるかがポイントです。活用目的がないデータには意味がありません。基本に立ち返りデータの活用法を再検討することも、データドリブンマーケティングを成功させるためには重要です。
2. 組織全体での体制作り・意識改革が重要
データがあるのにリーダーが自分の勘や経験を信じる場合、データドリブンマーケティングは実行できません。そのため、組織やリーダーの意識改革を行ったり、意思決定フローを変えたりする必要があります。意思決定プロセスを変更する場合は、企画書のフォーマット化や決裁フローの検討を行いましょう。
データドリブンマーケティングの事例を紹介
データドリブンマーケティングを導入した成功事例として、Brazeのお客様であるトリビュー(TRIBEAU)社の事例をご紹介します。
TRIBEAUは、美容医療の口コミ・予約アプリです。以前はCRMまで注力できておらず、新規顧客獲得中心のマーケティングのみでしたが、Brazeを導入しデータドリブンのCRMを開始。施策を展開しました。CRM施策を推進していくうえで、顧客タッチポイントのデータを統合。顧客アクションのタイミングに応じたコミュニケーションでパーソナライズコンテンツを展開することで、より顧客に寄り添ったコミュニケーションを実現できるようになりました。それによりリピーター率が約2倍に増加しただけでなく、全体の予約率も2.5倍に増加しました。
*トリビュー社の施策詳細は、「見逃し配信:注目急成長企業のマーケターから学ぶ!商機を逃さないアジャイルマーケティング」でご覧いただけます。
まとめ
この記事では、データドリブンの意味やデータドリブンマーケティングの重要性を解説しました。
データや情報が溢れる現代においては、データドリブンマーケティングを効果的に取り入れることで、顧客満足度を大きく向上させることができます。社内の意思決定フローの変更など、組織の抜本改革も時に必要ですが、顧客のエンゲージメントを上げ売上を盤石化するためにも、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。