グロースマーケティングは、旧来型の新規顧客獲得を目的としたマーケティングとは異なる、新たなマーケティング手法として近年注目を集めています。
この記事ではグロースマーケティングとは何か、なぜグロースマーケティングが注目されているのか、グロースマーケティングを進めるうえでのポイントを解説します。
グロースマーケティングとは
グロースマーケティングは、企業や事業・サービスなどのビジネスの持続的な成長を目指したマーケティング手法です。「グロース(growth)」は「成長」を意味しており、ビジネスの持続的な成長を目指したマーケティング手法とされています。日本では特に新規顧客獲得を目的としたプロダクトマーケティングの手法が確立していますが、グロースマーケティングは商品やブランドの持続的成長に重きを置いたマーケティング活動となります。
グロースマーケティングの定義
旧来型のマーケティング手法では売上や販売数など企業目線の指標が設定されますが、グロースマーケティングでは顧客獲得コストやLTV、受注数・受注率に着目します。新規顧客の獲得コストよりもLTVが上回る最小単位の収益性「ユニットエコノミクス」の実現を指標とすることで、より収益の向上を重視した活動といえます。
グロースハックとの違い
グロースハックとは、ブランドや商品・サービスを成長(グロース)させるための手法を模索し実行することです。データ収集から分析、施策立案・実施から効果検証、フィードバック、改善策まで、一連のマーケティング活動を低コストで効率的に行い、ブランド体験を飛躍的に成長させます。サービス自体にグロースできる仕組みを組み入れていく特徴がグロースハックにはあり、製品・サービスの改善を行いながら顧客体験を高めていくことが可能です。
グロースハックを実践するための手法として、「リーンスタートアップ」という考え方もあります。商品を中心にした従来型の考え方ではなく、必要最低限のプロダクトのみを開発・提供し、提供後の顧客の反応を見ながら必要なプロダクトのみを提供するという新たなビジネスモデルのことです。常に顧客の反応を見ながら仮説を検証し、検証結果を分析することで、改善への意思決定を行いPDCAサイクルを回し続けます。
グロースマーケティングが重要視された背景
では、なぜ近年グロースマーケティングが重要視されるようになってきたのでしょうか。3つの理由を解説します。
サブスク時代が到来したため
グロースマーケティングが重要になった背景にはサブスクリプション型のサービスが普及したことが関係しています。サブスクのようなサービスは他社への乗り換えが容易なビジネスモデルです。そのため、いかに顧客視点でのサービスを提供できるかが重要となっています。
データの分析・可視化が可能になったため
スマホやIoTの普及により、オンライン・オフラインを含むさまざまな顧客行動を可視化できるようになりました。可視化された顧客行動データを活用することで、持続的な発展に欠かせない事業収益向上の仕組みを構築することが可能です。
かつてはマーケターの勘や経験で意思決定されていたところも、データ化された顧客行動によって裏付けされたマーケティングを実施できる時代へと変化しています。グロースマーケティングでは、カスタマージャーニーのすべてのステージで検証を繰り返しながら、より成果が出る施策や商品提供・改善を実施します。
新規顧客の獲得が困難になったため
日本のビジネスモデルには新規顧客の獲得を重視する考え方が根強く残っています。しかし、近年のビジネス環境において新規顧客獲得は難しく、それだけでは事業が先細りする可能性があります。また一般的に新規顧客獲得にかけるコストは既存顧客を育成するコストよりも大きい傾向があります。つまり、獲得した顧客をいかに満足させ継続的にサービスや商品を使ってもらい続けるか、クロスセル・アップセルを図りながらLTVを上げていくかが重要なのです。
グロースマーケティングを成功させるために重要なポイント
グロースマーケティングを成功させるためには、必ず押さえておくべきいくつかのポイントがあります。ここでは主な4つのポイントをご紹介します。
顧客目線での指標設定
グロースマーケティングでは、従来の成果である「結果指標」に加え、「顧客体験」を踏まえた的確な目標・指標設計が必要です。「売上」「販売数」など旧来型の企業視点でのKGI・KPIだけではなく、未来の成果につながる「先行指標」を設定するために、顧客データを正しく分析し顧客を理解しなければなりません。
顧客の行動分析・理解
顧客行動とは、顧客が商品やサービスを認知するところから、購入・利用する、さらには利用を終了するまでのすべての行動を指します。顧客行動には顧客さえも気づいていないインサイトが隠れています。インサイトからニーズを把握することで継続利用の確率を高め、新商品開発につなげていきます。
施策の検証・改善の繰り返し
一度獲得した顧客を離脱させないためには常に顧客のニーズを把握することが大切ですが、現代では情報化、各社の商品開発力の底上げ、ニーズの多様化などさまざまな環境変化によって離脱のスピードが速まっています。そのため、顧客行動データから仮説を立て、施策を実施し、高速に実施した結果を検証し、さらに改善策を入れた施策を繰り返し打つことで施策効率を上げていくことが重要となります。
専門のチームや体制を整える
グロースマーケティングを実践するためには、専門のチームや体制を整える必要があります。マーケティングの中に専門部隊を構える企業もありますが、複数のブランドや事業がある場合、それぞれを横断する役割としてCGO(Chief Growth Officer)が置かれている例もあります。
グロースマーケティングの導入事例
グロースマーケティングの成功例としては、メルカリUSの事例が有名です。
メルカリUSのグロースマーケティングの歴史には3つのフェーズがありました。初期段階ではメルカリUSのサービス自体の作り込み・改善が必要だったため、顧客へのメッセージングは全顧客への一斉配信のみでした。
2つ目の施策フェーズでは、カスタマーエンゲージメントプラットフォームBrazeを導入し、グロースマーケティングに注力を始めました。施策フェーズでは行動をトリガーにした施策を数多く実施したようです。
そして3つめの顧客中心のCRMフェーズにおいてメッセージングだけでなくプロモーションまでもパーソナライズ化させることに成功し、事業の成長を実現したのです。
まとめ
この記事では、グロースマーケティングについて紹介しました。
旧来型のプロダクト・サービス中心のビジネスモデルでは新規顧客獲得に注力せざるを得ず、ビジネスの先細りが懸念されます。そのため、顧客中心の考え方であるグロースマーケティングに切り替え、一度獲得した顧客をファンにし、LTVを上げる持続可能なビジネスモデルを実現することが急務です。そしてそのためには、顧客行動を正しくかつ深く理解するカスタマーエンゲージメントプラットフォームが欠かせません。
Brazeは、オンラインだけでなくクロスチャネルで顧客行動を可視化し、施策に反映することが可能なカスタマーエンゲージメントプラットフォームです。グロースマーケティングを実現するための必須ツールとして、ぜひ貴社でも導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Brazeでは、グロースマーケティングの活用事例についてご紹介していますので、ぜひご活用ください。