レポートおよび分析


ベンチマークが表すもの。業界全体の指標と傾向を把握し、施策に活かす。

Team Braze 作成者: Team Braze 2023/06/19

デジタルマーケティング施策が失敗する一つの要因は正しいデータに基づいて意思決定がなされていないケースです。

カスタマーエンゲージメントを考える上で、ベンチマークのデータはとても重要な情報です。業界全体の指標であり、傾向であり、自社の状況を客観的な視点も踏まえて、深く理解できます。また、業界を横断して戦略を立てられれば、収益をさらに向上させることができます。このツールは、匿名化されたエンゲージメントデータを集計、メッセージングにおけるさまざまな重要指標と業績向上を支援するものと考え、Brazeが新しいベンチマークツールとしてリリースしています。

このようなベンチマークデータは、マーケティング担当者が比較したり、改善のための基準を決めたり、業界の状況を把握したり、仮説を立てたり、企業にとって意味あるインサイトとなります。業界別のベンチマークデータを正しく活用することで、マーケティング、グロース、エンゲージメントに幅広い影響を与えることができるでしょう。

ベンチマークデータを最大限活用するには、使用するデータに何が含まれ、その情報はどのように表現され、そしてデータを理解した上でどのように使用すべきか、少し批判的な目線で見ても良いかもしれません。データを盲目的に信頼したくなる気持ちはよくわかります。しかし、データを詳しく調べ、それが何を示しているのか?をよく理解しておく方が賢明です。このページでは、ベンチマークデータを確認する際に、考慮すべき点をまとめました。

率は単純比較できない

率(レート)についてお話します。集計レートは、正しく理解しないと、非常に誤解を招く可能性があります。業界のレポートがどのように計算され、それに応じてデータをどう解釈するかがとても重要です。

業界レベルのレートのレポートには、いくつか種類があります。Braze Benchmarksでは、単純な方法として、総開封数または総クリック数を総メッセージ配信数で割った集計率を算出しています。これは、あたかもすべてのメッセージが1つの大きな送信者により送信されている。かのように、特定の業界レートをレポートしています。

また、キャンペーンごとのレートが決まり、業界のキャンペーン全体の平均をとることもできます。業界内の50%(中央値)の送信者のレートを集計して、中央値を算出することもできます。そして、それぞれのアプローチには、それぞれ特徴があります。

以下の「業界X」のサンプル数字を例にとりましょう。

この業界の集計開封率を求めるには、総開封数を総配信数で割るだけです。1000÷4500≒0.22、つまり22%。しかし、この業界のキャンペーンに加重率を考慮すると、どうなるでしょう。

開封と送信の合計から集計率を算出するのではなく、上記のキャンペーンエンゲージメント指標の平均を業界全体で算出すると、(0.25 + 0.14 + 0.25 + 0.50)÷4≒0.29 つまり29%となり、かなり違った結果になります。単純集計率よりも7ポイント高い。これは、集計がキャンペーン加重型であるため、業界全体のボリュームではなく、個々のキャンペーンのパフォーマンスによって影響を受けているためです。

中央値を算出する際も、同じような現象が起きます。特定の業界に3つの会社があると仮定しましょう。


上記のデータからこの業界の開封率の中央値を算出すると、3つの企業レベルの開封率の中間値である約25%に収まります。さらに、同じデータセットから、傾斜をかけ、集計開封率(22%)、キャンペーン加重開封率(29%)、開封率の中央値(25%)という3つのベンチマーク値も算出できます。

これらの指標は、より複雑なので他の指標に比べ、やや正確さに欠けるかもしれませんが、業界全体の動きやトレンド、変化に気づくきっかけを与えてくれるかもしれません。キャンペーンごとのエンゲージメント率は、特定の業界における平均的なキャンペーンのパフォーマンスを示しています。重要なのは、どのような指標で見ているのか、その指標の考え方に注目することです。

要約された指標に気をつけよう

要約された指標で、全体感を理解することは不可欠ですが、本質的な危険性も含んでいるので、注意する必要があります。

ベンチマークのような業界のエンゲージメントデータは、データ集計で平均的なエンゲージメント率が算出されると思われがちですが、必ずしもそうなるとは限りません。確かにデータから平均的なエンゲージメント率は算出できますが、それは平均値ではなく、加重平均値です。データを構成するグループが均一に存在しない場合、グループのデータを集計して全体の数値を出すと、異なるグループ内で現れたトレンドが変化したり、消失したり、あるいは逆転したりすることがあります。

例えば、ある音楽配信会社(ブランドX)が、プロモーションキャンペーンで顧客へのアプローチを試み、マーケティングチームが次のような数字を見つけたとしましょう。

表面的には、ブランドXはメッセージのエンゲージメントにおいて業界平均を上回っているように見えます。しかし、この数字を、ユーザーのタイプ別に分けて分析するとどうでしょうか。

このように見ると、ブランドXは業界全体と比較して、開封率で劣っていることが明らかになりました。では、この原因は何でしょうか?それは視聴者セグメントの不均一性です。ブランドXのメッセージ受信者のうち、「Streamers」カテゴリの割合は、業界全体の50%に対し、90%と非常に大きいからです。

このように、この種の業界全体の指標は、かなり誤解を招く可能性があることがお分かりいただけたと思います。この例では、ユーザー構成など、開封率の集計の裏に隠れている要因の影響と言えます。しかし、他の要因も影響する可能性があります。例えば、先に述べたキャンペーン加重率を例に挙げます。このレートは施策の特性上、外れ値や極端な値の影響を受けやすい傾向にあります。あるキャンペーンのパフォーマンスが極端に高かったり低かったりすると、その異常値と均衡を保てるような他のキャンペーンが存在しない限り、業界レートは歪んでしまいます。

そのため、ベンチマークを使用する際は、各指標の特性と背景を考慮しながら、活用することをお勧めします。


ベンチマークデータの活用法

今見ているデータが何を意味しているのかは分かりました。では、この新しい知識をどのように活用すればよいのでしょうか。

1. 利用しているサマリー指標を正しい切り口で見ているかを確認する

集計率、キャンペーン加重率、中央値、その他の計算方法を知り、企業特有のニーズを考慮しながら使い分けましょう。例えば、キャンペーン加重エンゲージメント率を見る場合、単純な集計率ではなく、キャンペーン加重の指標と比較しましょう。

2. 業界最高水準の数値を前提とした最適化は避けましょう

エンゲージメント指標は顧客セグメントによって異なるため、ユーザーデータを集計して、高い弾力性を前提とした施策の設計は避けましょう。セグメント別にテストを行い、来訪した人の中からどれくらいの割合でターゲット層がいるのかを把握しましょう。非ターゲットユーザーを狙うことを避け、ターゲットユーザーによりよくエンゲージすることができます。

3. ベンチマークを1つの業界に限定しない

自分の業界のベンチマークを深く理解することは重要ですが、業界の枠を超えて、ベンチマークデータを見ることも大切です。例えば、旅行業界の企業がゲーム業界の企業の戦略を参考にすることで、大きな成果を得られるかもしれません。

最後に

今日はベンチマークのトピックを掘り下げました。Snowflake と連携した新しいベンチマークツールは、週単位で更新される業界レベルの指標を集計し、匿名化したものを掲載しています。Snowflake データシェアリングと併用し、お客様の社内データと結合することで、信頼できる業界ベンチマークと組み合わせたキャンペーンのテスト、仮説検証が可能になります。

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