今日の消費者は、個人情報の共有やアプリやウェブサイトとの関わり方について、より慎重になっています。消費者のプライバシーへの関心やデータの利用方法に対する関心が高まる中、企業の透明性は非常に重要となっています。しかし、消費者データの追跡をめぐる否定的な世論を考慮すると、企業はこの問題への取り組み方を慎重に選ばなければなりません。
特定のデータがなぜ収集され、どのように使われているのか分からない状況が、消費者の混乱と不信感を招いています。すべてのブランドが情報収集と利用に慎重なわけではなく、中には消費者にとって「不気味」と見なされるリターゲティング広告のような手法も存在しますが、マーケターは基本的により関連性のある価値の高いブランド体験を提供するために消費者情報を収集しています。簡潔に言えば、すべてはパーソナライゼーションにつながっています。つまり、ブランドが顧客の好みや行動を基に、期待に応える、あるいは超えるカスタム体験を提供することです。
データプライバシーと同意に関する消費者心理、そしてデータ収集に関連する「オプトイン(許可する) /オプトアウト(許可しない)」の選択肢に対する消費者の嗜好を明らかにするため、BrazeはDynataと提携し、米国の18歳以上1,000人を対象に調査を実施(2022年6月)しました。私たちの目的は、消費者のパーソナライゼーションに対する期待と、ブランドとの情報共有に対する意欲のレベルがどのように一致しているかを理解することでした。その調査の結果は以下の通りです:
・回答者の61%は、オンラインで自分の情報を保護することに非常に関心があると答えました。
・回答者の49%はデータのプライバシー、つまり自分のデータが保護されているという感覚は、パーソナライゼーションよりも価値があると指摘しています。しかし53%は、媒体が何であれ(対面、ソーシャル、チャット機能など)、ブランドと関わるたびにユニークでパーソナライズされた体験を期待していると答えています。
・アプリで「オプトアウト(許可しない)」や「追跡しないよう求める」をクリックする頻度を尋ねたところ、3分の1以上(39%)が「いつもする」と答え、半数以上(52%)は「時々する」と答えました。しかし、約半数(47%)は、ウェブサイトを閲覧する前に促された場合、「すべてのクッキーを受け入れる」を選択する可能性が最も高いと答えています。
・消費者がトラッキングやクッキーを許可する理由として挙げた主な理由は:
・ロイヤルティ特典やプログラムへのアクセス(52%)
・パーソナライズされた体験やコミュニケーションに興味がある(37%)
・オプトアウトする方法を見つけるのに時間がかかりすぎる(24%)
・回答者が最も個人データの収集を許可する可能性が高いアプリは、リテール(58%)、金融サービス(49%)、ストリーミングサービス(44%)です。
・データ共有に同意する際、消費者が何に同意しているのかをどれくらい認識しているか尋ねたところ、半数以上が「時々認識している」(53%)と回答し、「常に認識している」(38%)よりも多く、「全く認識していない」(9%)を上回りました。
これはブランドにとって何を意味するのか?
消費者はプライバシーを守りたいですが、同時にパーソナライゼーションも期待しています。調査対象となった消費者の半数近くが、データのプライバシー・保護はパーソナライゼーションよりも価値があると回答しています。しかし、半数以上の消費者は、ブランドと関わるたびにパーソナライズされた体験を期待しています。これは、ブランドが両方の価値観を持つ消費者との信頼関係を構築する方法を見つける必要があることを意味しています。
ブランドはまた、消費者との関わり方をより創造的にする必要があります。特にロイヤルティプログラムのようなツールを提供することで、顧客との長期的な関係を築くことができます。実際、調査対象となった消費者の半数以上が、ロイヤルティ特典やプログラムを利用したいがために、データの収集や追跡を許可しています。高いインフレ率やその他の経済的課題に直面し続ける中で、ブランドと消費者の双方がこれを意識することは重要です。飲食サービスからストリーミング、小売業など、業界を問わずこのバランスを取ることは極めて重要です。
今後のトレンドは透明性
私たちの調査では、消費者のデータのオプトイン/オプトアウト行動において、アプリとウェブサイトの間に顕著な違いがあることが分かりました。アプリ内で「追跡しないようにする」オプションが提示された際、それを選択する頻度について尋ねたところ、回答者の39%が常に選択すると答えました。一方、ウェブサイトでブラウジング前にクッキーの受け入れに関するプロンプトが表示された際にどのような行動を取るか尋ねたところ、47%の回答者が「すべてのクッキーを受け入れる」を選択すると答え、「詳細オプションを表示する」を選択する回答者は21%にとどまりました。
モバイルアプリの多くが提供する「オプトアウト」や「追跡しないようにする」のオプションは、ユーザーがデータを共有しない選択を、シンプルに一回のクリックでできるようにしています。ウェブサイトに関しては、少し異なる状況が見られます。EUの一般データ保護規則(GDPR)やカリフォルニア州、コロラド州、バージニア州のプライバシー法の導入を受けて、多くのウェブサイトが訪問者にウェブページにアクセスする前に「すべてのクッキーを受け入れる」か「詳細オプションを表示する」を選択するよう求めるようになりました。私たちの調査では、回答者の4分の1近くが、クッキーの共有をオプトアウトする方法を見つけるのに手間がかかりすぎると感じていることがわかりました。モバイルアプリとウェブ上でのプライバシープロンプトのUXの違いが、ユーザーのオプトイン/オプトアウト選択における行動の違いを生んでいるかもしれません。
ブランドはどのように対応すればよいのでしょうか?賢明な方法は、データを収集する前にユーザーにプライミングを始めることです。プライマーとは、ユーザーに自分たちのデータを提供する理由や、それがどのように顧客体験をサポートするのかについての情報をブランドが提示するターゲットキャンペーンのことを指します。通常モバイルではアプリ内メッセージ、ウェブではブラウザ内メッセージで送信されます。例えば、ブランドが消費者の閲覧データを利用して、より最適な商品を提案する目的があるのであれば、その目的とそのメリットを明確に伝えることで、ユーザーにオプトインを選択してもらいやすくなります。
最後に
消費者がブランドとの関わりごとにユニークでパーソナライズされた体験を期待する中、ブランドにとって、ブランドは何を追跡し、それが個々のユーザーエクスペリエンスをどのように向上させるかについて、より透明性を高めることが重要になります。これにより、消費者はデータ共有の選択やクッキーの許可が、最終的にブランドが顧客体験を構築し、カスタマイズする方法にどのように影響するかを消費者が理解するのに役立ちます。
パーソナライゼーションと、それがどのように優れたブランド体験をサポートするかについて、さらに詳しく知りたい方はBrazeのパーソナライゼーションガイドをご覧ください。