メールマーケティングは、数あるマーケティング手法のなかでも費用対効果や柔軟性に優れた方法であり、多くの企業で長く活用されています。
この記事では、メールマーケティングの基礎知識や重要性、メリットとデメリット、手法や流れ、注意点などをご紹介します。
1. メールマーケティングとは
メールマーケティングとは、メールを通じて顧客とコミュニケーションを図ることで集客やコンバージョンへとつなげるマーケティング手法です。
「メール」と聞くと、どこか時代遅れな印象を受ける方も多いかもしれません。しかしメールには、ROI(費用対効果)の高さや、ほかメディアとの相乗効果の生み出しやすさなど、独自の魅力があります。2024年現在でも、メールマーケティングはマーケターが習得しておきたい手法であり続けています。
2. メールマーケティングの重要性
まずは、マーケター視点でのメールマーケティングの重要性を押さえておきましょう。
1. 身近なツールとして活用できる
メールは今や、社会へしっかりと浸透した身近なツールです。総務省の「令和4年通信利用動向調査結果」によれば、人々のインターネットの利用目的(※複数回答可)は、1位がSNSの利用(80.0%)であり、僅差の2位が電子メールの送受信(78.5%)でした。メールを使いこなせれば、全インターネット利用者のうち8割近くもの方にアプローチできる可能性がある計算となります。
2. パーソナライズなコミュニケーションが可能になる
メールは、送信内容を変えることで顧客に対してパーソナライズされたコミュニケーションを行える点で優れています。
「どの条件の顧客に何を送るのか」を柔軟に設定できるため、例えば誕生日の方に限定割引クーポンをプレゼントしたり、最近購買がない方に新商品の魅力をお届けしたりと、頭のなかにあるマーケティング施策を実現する手段として役立ちます。
3. さまざまなチャネルと組み合わせて活用できる
SNS、動画サイト、自社アプリ、実店舗など、多様なチャネルと組み合わせやすい点もメールの魅力です。ほかの媒体で興味を抱いてくれた方に「より詳しく知りたい方はこちら」とメルマガ登録を促すなど、チャネルの垣根を越えたマーケティングが行えます。
4. 見込み顧客にアプローチできる
メールマーケティングは、見込み客を成約につなげるための「最後の一押し」としても機能します。メールを届けられるということは、相手はメールアドレスを自ら提供してくれたということであり、高い購買熱を抱いていると期待できるからです。メール内容や配信条件の工夫次第で、自社サービスのコンバージョン数を飛躍的に高めることも夢ではありません。
3. メールマーケティングのメリット
では、メールマーケティングのメリットをより具体的にご紹介しましょう。
1. 低コストではじめられる
メールマーケティングは低コストではじめられます。必須となるのは配信システムや効果検証のためのツール程度で、こちらは数千円の費用で利用できるものもあります。印刷代や郵送費がかかる紙のダイレクトメールなどと比較すると、驚くほどコストを節約できます。
2. メディアとの相乗効果が期待できる
メールマーケティングでは、ほかのメディアとの相乗効果も期待できます。例えば、SNSからメルマガ登録に誘導してサービスの魅力を解説すれば、SNSの長所である「集客力の高さ」を活かしつつ、短所である「文字数制限の厳しさ」をカバーできます。
3. 費用対効果が高い
既に自社サービスに興味があるユーザーを対象にできるメールのROI(投資利益率)は42対1ときわめて高く、最も効果的なマーケティング手法の一つとして知られています。低コストではじめられるメリットもあり、潤沢な予算の確保が難しい企業でも成果を上げやすい、費用対効果の優れた施策といえます。
4. 効果を測定しやすい
マーケティング手法の選択では、効果測定のしやすさも重要な観点となります。これは、効果が測定しにくい手法は施策の結果の確認に時間がかかり、PDCAサイクルを回していくことが難しくなるためです。メールマーケティングであれば、開封率やクリック率などの数値をすぐに確認できます。
5. 顧客に合わせたアプローチができる
メールマーケティングは顧客に合わせたアプローチを実現しやすいのが特徴です。メールの内容はもちろん、送信相手の条件や配信時間なども柔軟に設定できるため、顧客一人ひとりに「まるで自分のために用意されたメールだ」と感じてもらえます。
4. メールマーケティングのデメリット
メールマーケティングはメリットの多い手法ですが、一方で知っておくべきデメリットもあります。
1. 中長期で考えていかなくてはいけない
メールマーケティングは中長期的な視点が必要な手法です。まずは多くの相手にメールアドレスを登録してもらう作業が必要で、Web広告の出稿などと比べると即時性で劣ります。また、後述するステップメールのように、時間を空けて複数のメールを送信してこそ意味が生まれるものもあります。
2. 定期的にコンテンツを作成する必要がある
メールマーケティングは一度メールを送信して終わりではなく、定期的なコンテンツの作成が求められます。そして、その内容には「次もメールを開きたい」と感じてもらえるだけの質が必要で、相応の作業負担がかかります。
なおBrazeでは、マーケターのメール作成を支援する「メールアイデア・インスピレーションガイド」を以下のページにて提供しています。
>>【Braze Email Inspiration Guide】メールのアイデア インスピレーションガイド
3. 運用のリソース確保や手間が発生する
メールマーケティングは低コストではじめられるのが魅力ではありますが、それでも相応の運用リソースの確保は必須です。質の高いメールを作成し続けることはもちろん、開封率などのパフォーマンスを常に測定し、状況に応じて施策を改善していく手間がかかります。
5. メールマーケティングの手法
次に、メールマーケティングの手法についてご紹介します。
1. メールマガジン
メールマガジンは、メールマーケティングのなかでも最も代表的な手法です。配信を希望する全顧客を送信対象とし、新商品やキャンペーンの告知などを行います。全登録者に対して一律の情報・内容を一斉配信しており、企業の好きなタイミングで配信を行えるのが特徴です。
2. ステップメール
ステップメールは、設定したタイミングで複数のメールを段階的に配信する手法です。例えば、資料請求をしたユーザーにまずは簡単な製品説明を送信し、翌日にはより応用的な使い方をご紹介するなど、用意したシナリオに沿ってメールを配信します。
メルマガとの違いは、あらかじめ定められたスケジュールで配信を行うことと、伝えたい情報をすべて送信しやすいことにあります。
3. リターゲティングメール
リターゲティングメールは、ある条件のユーザーに対して状況に適した内容のメールを配信し、Webサイトや商品ページへの再訪を促す手法です。カートに商品が入った状態で離脱したユーザーにリマインドのメールを送る、商品を閲覧したものの購入に至っていないユーザーにクーポン付きのメールを送る、などの例が挙げられます。
4. ターゲティング(セグメント)メール
ターゲティング(セグメント)メールは、生年月日や地域設定など、ユーザーの属性に応じて送られるメールです。誕生日クーポンや(特定地域の)店舗限定クーポンを送信するなど、ユーザーの属性に適したコンテンツを配信します。配信対象の設定には、メール配信システムやマーケティングツールを活用すると便利です。
5. シナリオメール
シナリオメールとは、ユーザーの行動をきっかけに、あらかじめ設定されたメールが自動で配信される手法です。ステップメールは日付を起点にしたメール配信であるのに対し、シナリオメールは日付に加えてユーザーの行動も起点となります。シナリオメールを活用すると、ユーザーの状況に合った内容とタイミングでのコミュニケーションが可能となり、顧客体験の向上を期待できます。
6. 休眠顧客発掘メール
休眠顧客とは、商品を購入してから時間が空いている顧客や、失注後フォローされないままとなっている顧客のことです。アクションがなく「眠った」状態の顧客との関係を再び活性化させる取り組みのため、「休眠顧客を発掘する」という表現が使われています。休眠顧客に対して定期的にメールで連絡を取れば、新たな契約の獲得を目指せます。
なお、休眠顧客の重要性やメール以外の掘り起こし方法は以下の記事で解説しています。
>>休眠顧客とは?アプローチするメリットや方法、ポイントについて徹底解説
6. メールマーケティングの流れ
ここからは、メールマーケティングの流れについて解説します。
1. 目的・目標の明確化
最初に、メールマーケティングを行う目的と目標を明確にします。今回のマーケティング活動の背景、達成したいゴール、解決したい課題をもとに設定します。
例えば、「メール経由でのセミナー申し込みを月◯件に増やす」というKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を決定したら、次にKGIを達成するためのメールマーケティングの活動指標となるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。メールマーケティングにおけるKPIには以下のようなものがあります。
・開封率
・CTR(クリック率):配信されたメールに対するクリック率
・反応率:CTRに対し、開封されたメールに対するクリック率
不達率や購読解除率も重要な指標です。上記のKPIと合わせて見る必要があります。
2. ターゲットの設定
次にターゲットの設定を行います。理想的なメールマーケティングを実行するためには、ペルソナを作成しておきましょう。
ペルソナとは、自社の商品・サービスを購入するユーザーを具体的に想定し設定した架空の人物です。年齢・性別、職業、趣味など詳細なプロフィールや、想定される行動・趣向まで設定することで、マーケティングの方向性を明確化できます。
3. ユーザーリストの作成
ターゲットの設定後は、ユーザーリスト、つまりメールの配信先を作成します。ユーザーリストを増やすためには、アンケート、資料ダウンロード、メールマガジンへの登録などを促す方法が有効です。
ユーザーを属性で振り分けやすくするためには、取得する個人情報を増やす必要がありますが、ユーザーに情報を登録してもらうハードルが上がってしまいます。自社の目的において必ず必要となる項目を設定しましょう。
4. メールの作成・配信
ユーザーリストが用意できたら、自社の目的を達成できる配信シナリオとメール内容を作成し、いよいよ配信に移ります。多くの顧客に一貫性のあるメール配信を続けるためには、過去の履歴を確認できるマーケティングツールの活用もおすすめです。具体的な内容の検討には、Brazeの「メールのアイデア インスピレーションガイド」のユースケースも参考にしてみてください。
5. 効果の検証・改善
メールを配信した後は効果測定を行い、改善を進めます。あらかじめ設定したKPIに対する結果を検証し、問題点を洗い出しましょう。
例えば、開封率が低ければ、件名の変更、配信時間の調整などが解決策として考えられます。必要に応じて目標が現実的であるのかどうかも再確認し、一連の流れを繰り返していきましょう。
7. メールマーケティングを行うポイントや注意点
ここでは、メールマーケティングを成功させるためのポイントと注意点をご紹介します。
1. 個人情報保護の動向に気を付ける
特に注意すべきは、個人情報保護にまつわる動向です。近年は個人情報保護に関する法規制が進み、大手ベンダーもさまざまな対策に乗り出しています。
例えば、AppleのOSにおいては、メールプライバシー保護機能「Mail Privacy Protection(MPP)」が登場しています。このMPPがあるとメール開封状況の正確な計測が難しくなるため、メール開封率に基づいてシナリオ設計をしている場合はメッセージフローの見直しが必要となります。
MPPについて、詳しくは以下のページをご覧ください。
>>Appleの新OSにメールプライバシー保護機能が登場 メールマーケティングへの影響と必要な対策
また以下の記事では、「Appleのメールプライバシー保護機能に対応するための方法9選」をご紹介しています。こちらもぜひ併せてご覧ください。
>>メールマーケティング担当者がAppleのメールプライバシー保護機能に対応するための方法9選
2. 目的を曖昧なままにしてはじめない
メールマーケティングは漫然とメールを送信するだけでは効果は見込めません。実行前に目的を明確にしておくことが重要です。「サービスの成約を増やしたい」「ブランドや商品の価値を知ってほしい」「常にアプローチしやすい顧客名簿(メーリングリスト)を持ちたい」など、目的を明確にし、それに適したKPIの設定を行いましょう。
3. 読んでもらうことが目標になっていないか気を付ける
メールマーケティングのよくある失敗として、開封率を追い求めた結果、いつしか「顧客にメールを読んでもらうこと」が目標となってしまうケースがあります。しかし、本来の目的は、メールを読んだ先のサービスの成約などにあるはずです。KPIを確認しつつ、目的の達成度合いは常に測定しましょう。
4. 配信対象を限定してみる
メールマーケティングの成果が上がらない場合は、配信対象を細かく限定しながら取り組んでみましょう。全体ではレスポンスが薄く見えるメールでも、特定の顧客層には響いている場合があるためです。
顧客層別のそうした違いに注目し、それぞれに適切なメールを用意する作業は、パーソナライズされたコミュニケーションの実現に欠かせない過程でもあります。
5. A/Bテストを実施してみる
メールマーケティングのスピード感を高めるためには、A/Bテストの実施が有効な解決策となります。文言、画像、動画、配信先、配信時間帯など、注目したい要素にだけ違いをつけたメールを作成し比較することで、PDCAサイクルを効率的に回せます。
6. ツールを導入してみる
メールマーケティングを円滑に進めるためには、適切なITツールの導入も重要です。ツールの導入には以下のような魅力があります。
数万人を超えるユーザーに遅延なく送信できる
効果を即座に数値で測定できる
複雑な配信シナリオを用意できる
A/Bテストを実施できる
8. メールマーケティングの成功にはツール活用がおすすめ
メールマーケティングを成功させるためにITツールを導入するなら、扱いやすく実績も豊富な「Braze」の導入をご検討ください。
1. Braze Eメール
Brazeでは、マーケターのメールマーケティングをより手軽で効果の見込める施策へと進化させる「Braze Eメール」を提供しています。Brazeのほかの機能とも連携しながら、以下のような作業が実現できます。
ツール上で完結する顧客の細分化(セグメント化)
最適なメール送信時間のグラフでの視覚化
シナリオ分岐やトリガー別のメール送信の自動化
「自分のため」に見えるメール内容の作成
2023年に全世界のBrazeユーザーが送ったメールの数は、合計約3,000億通。既に世界中のメールマーケティングで活用されています。Braze Eメールの詳細は以下のリンクよりご確認ください。
>>Brazeが大規模かつ迅速にパーソナライズされたメールキャンペーンを送信する方法
2. 成功事例1
ここからは、購入型クラウドファンディングで国内最大級の規模を誇るプラットフォーム「Makuake」の成功事例をご紹介します。
Makuakeでは、30~50代の層に対するメールマーケティングの有効性に気づき、数種類のメルマガを用意するなどの対策をしてきましたが、CRMツールの運用は外部に委託してるため、セグメンテーションの変更や効果検証の度に、作業と外注コストが発生し、メンテナンスも時間がかかっている状況でした。また、2022年後半からコンバージョン率が低下してきたことで、システムの見直しが必要になり、同業態での運用実績や操作性の高さからBrazeを導入することにしました。
Brazeを導入したことで、コンバージョン率が137%改善、売り上げも同じように伸ばすことに成功しています。また、配信状況を可視化したことで、メール配信が効率化され30%削減することができました。
>>マクアケ、マーケター自身が仮説検証と施策展開ができる環境を求め、ノーコードで扱えるBrazeを導入。コンバージョン改善と収益最大化に貢献
3. 成功事例2
最後次に、Brazeを活用してメールマーケティングに成功したアメリカの美容系サブスクリプションサービス「Birchbox」の事例をご紹介します。
Birchboxではかねてより、プロモーションメッセージの開封率やクリック率の低さに課題を抱えていました。しかしある時、その原因はすべてのメーリングリストに同じメールを送信していることにあるのではないかと考えます。
そこで、BrazeのソリューションパートナーであるNotable Growthの支援を受けつつ、Brazeを用いた顧客のセグメント化を実施。セグメント別にパーソナライズされたメールを送信した結果、開封率は16%増加し、メールからのコンバージョン率を25%増やすことに成功しました。
9. まとめ
メールを通じてコミュニケーションを図り顧客を育成するメールマーケティングは、今の時代においてもなお効果的なマーケティング手法です。しかし、成果を上げるためには質の高いメールコンテンツを作り続けることが求められます。
下記のページからは、メールマーケティングのキャンペーンの展開方法を、活性化・収益化、リテンションといったフェーズごとの実践的な指針として紹介したeBookがダウンロードできます。ぜひこのeBookも参考にしながら、メールマーケティングの導入をはじめてはいかがでしょうか。