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ペルソナの意味とは?設定方法やマーケティングにおける重要性を解説

Team Braze 作成者: Team Braze 2024/07/31

質の高いペルソナはマーケティング施策の精度を高めてくれます。しかし、マーケティングの成果を得るためには、ペルソナの正しい設定方法や設定の注意点を押さえておくことが大切です。

この記事では、ペルソナの意味やターゲットとの違い、重要性や必要な要素、設定の流れや注意点をご紹介します。

1. ペルソナとは?

ペルソナ(Persona)とは、元々は「演劇で使う仮面」を意味するラテン語です。転じて、ビジネス・マーケティング領域と心理学領域では、それぞれ以下の意味で使用されています。

  • ビジネス・マーケティング領域のペルソナ:自社製品やサービスの基本的な顧客像。マーケティングの精度を高めるために活用される。

  • 心理学領域のペルソナ:社会に適応するために社会的役割を演じる人格(≒外向きの自分)。スイスの心理学者ユングが提唱した用語。

この記事で登場する「ペルソナ」は、前者のビジネス・マーケティング領域における顧客像のことを指しています。


2. ターゲットとの違い

ターゲットとはペルソナの類似用語で、こちらも自社製品やサービスの基本的な顧客像のことを指します。

ペルソナとターゲットの違いは、設定の詳細度です。通常ターゲットは、「20代・独身・男性」のような大まかな属性のみを設定します。一方、ペルソナは、それらに加えて名前・年収・職業・役職・学歴・価値観・趣味など、多様な項目を設定します。つまりペルソナは、「実在する人物だと想像できるほどターゲットを深掘りしたもの」といえるでしょう。

3. マーケティングにおける「ペルソナ」の重要性

ペルソナは、マーケティング施策の成否を左右するほど大切な要素です。では、ペルソナがどのように役立つのか、その重要性を確認していきましょう。


ユーザーが求めている商品・サービスが把握できる

質の高いペルソナは、自社製品・サービスのユーザー視点での改善を可能にします。ペルソナの本来の意味である「仮面」を被るように、設定した人物の現状や悩みを想像することで、解像度の高い顧客ニーズを得られるためです。「企業が考える顧客ニーズ」に偏ってしまう失敗を減らせます。


社内・メンバー間で認識の共有・統一化が図れる

社内・チーム内の意思疎通においてもペルソナは有効に機能します。自分たちが製品を届けたい顧客の姿を明確に共有しやすくなり、担当者によって取り組みの方向性がブレることを防いでくれます。


マーケティングの精度が高まる

顧客が「まるで自分のためにある製品だ」と感じるようなパーソナライズされた宣伝は、マーケティングにおける一つの理想型でしょう。成約を期待できるうえに、響かない相手に広告を打つ無駄なコストも削減できるからです。ペルソナによる顧客ニーズの把握は、この理想の実現を手助けしてくれます。

そのほか、ペルソナは「カスタマージャーニーマップ(顧客と自社製品との出会いから利用までを旅に準えたもの)」の作成に必須の要素でもあります。

マーケティングにおけるカスタマージャーニーの重要性やマップの作成方法は、以下の記事で解説しています。

>>カスタマージャーニーとは?作成するメリットやマップの作り方・注意点を紹介

4. ペルソナ設定に必要な要素や具体例

続いて、ペルソナの設定に必要な要素・具体例を見ていきましょう。

ペルソナの要素

ペルソナの設定では、通常は以下のような要素を定めていきます。

【ペルソナの要素例】

  • 名前

  • 性別

  • 年齢

  • 住んでいる地域

  • 家族構成

  • 学歴

  • 職業、業種

  • 仕事内容

  • 部署、役職

  • 年収

  • よく使う情報収集の手段

  • 情報収集の時間帯

  • 課題・悩み

  • 価値観

  • 趣味


ただし、必要な要素は製品の特徴やビジネス形態によっても変わります。例えば娯楽用品を販売するB2Cビジネスなら、部署や役職はさほど意味を持たず、趣味・価値観・年齢・年収などが重要となるでしょう。

ペルソナ設定の具体例

では、自社のサービスが「聞き流すだけで英語力が高まる学習アプリ」だと想定して、ペルソナの具体例を作成してみましょう。

【ペルソナの具体例】

  • 名前:サトウ ジロウ

  • 性別:男性

  • 年齢:29歳

  • 住んでいる地域:広島県福山市

  • 家族構成:妻、3歳の息子

  • 学歴:大卒(経済学部卒)

  • 職業、業種:製造業(電子部品)

  • 仕事内容:電子基板の組み立て

  • 部署、役職:製造部門、主任

  • 年収:400万円

  • よく使う情報収集の手段:スマートフォン(Android)によるSNSチェック

  • 情報収集の時間帯:通退勤の隙間時間。お昼休憩。

  • 課題・悩み:子どもを私立中学校に進学させるために収入をアップさせたい。

  • 価値観:家族の幸せが最優先。倫理に反することはしたくない。

  • 趣味:映画・音楽鑑賞。ランニング。


上記のペルソナは子どものための収入増加を目指しており、ランニングを趣味としています。「英語力の向上はキャリアアップに繋がる」「ランニングや通退勤時にイヤホンで音声を聞くだけ」といった形で宣伝を行えば、きっと心に響くはずです。

5. ペルソナを設定する際のポイント

質の高いペルソナを設定するためには、意識しておきたいポイントが3つあります。


共通のイメージが持てる人物像を設定する

大前提として、ペルソナは多くの人が共通してイメージしやすい人物像であることが大切です。自社のマーケティングに必須の要素を除き、突飛な設定は避けましょう。前述の具体例でいえば「子どものために収入を増やしたいお父さん」という共感しやすい人物像を設定しています。


客観的なデータを元に作る

共通のイメージを持ちやすいペルソナを作るためには、客観的なデータを根拠とするのが有効です。既存顧客へのアンケートやヒアリングを行い、テキストマイニングで各要素を明らかにしていくなど、実際の自社の顧客からかけ離れていない人物像を設定する必要があります。


定期的に見直しをする

ペルソナには定期的な見直しが必要です。顧客ニーズや市場は絶えず変化しており、一度設定したペルソナを使い続けていると時代遅れになるリスクがあります。半年に一度、一年に一度など、事前に見直しの時期を定めておくと良いでしょう。

6. ペルソナ設定の注意点

続いて、ペルソナ設定に関する注意点を深掘りしていきます。


作りすぎない・設定を細かくしすぎない

ペルソナは、本当に必要な数だけ作成しましょう。ペルソナを複数作成すること自体は間違いではありませんが、数が増えると管理が難しくなります。多くとも3~4人程度からはじめるのがおすすめです。

また、設定内容も同様で、不必要なほど充実させると複雑化して扱いづらくなります。自社のマーケティングにおいてどの情報が重要なのかを常に意識しながら内容の厳選を進めましょう。


理想や思い込みで作らない

ペルソナには、自社の願望や理想を混ぜ込まないような注意が求められます。自社顧客の実態からかけ離れた人物像になってしまい、本当のユーザーニーズを見失うおそれがあるためです。例えば、「庶民派として愛されている製品・サービスなのに、ペルソナには高年収の人物像を設定する」といった失敗はありがちです。


情報の収集や作成には時間がかかることを理解しておく

ここまでご紹介した通り、ペルソナの設定にはデータの活用が必要です。しかし、情報が多ければ多いほど収集や分析には相応の時間が必要となるため、ペルソナは一朝一夕には完成しません。あらかじめ時間的な余裕を持って設定をしましょう。

7. ペルソナ設定の流れ

それでは、自社のペルソナを設定するまでの流れを見ていきましょう。


自社や競合の分析を行う

最初のステップは、自社や競合他社、市場の分析です。自社製品の強みと弱み、競合の戦略や現状、市場のトレンドや脅威になり得る業界内の技術革新など、多様な情報を収集・分析します。

実際の作業には「SWOT分析」や「ファイブフォース分析」などのフレームワークを用いると効果的です。扱いやすいフレームワークは以下で解説しています。

>>事業戦略の目的や重要性とは?戦略の立て方やフレームワーク、ポイントを紹介

ペルソナに必要な要素を決める

自社を取り巻く現状を把握したら、次はペルソナに設定すべき要素(設定項目)を検討していきます。英語アプリの例で「聴くだけで英語力が向上する」というセールスポイントが刺さるペルソナを設けたように、「自社製品の魅力が響く顧客」をイメージするために必要な要素を考えましょう。前述の項目例も参考にしてください。

情報収集を行う

ペルソナに必要な要素を検討した後は、既存顧客に対してヒアリングやインタビューを行い、さらなる情報収集を進めます。用意済みの要素に漏れはないか、過剰な部分はないかと確認しつつ、設定を埋めるための情報を集めましょう。既存顧客のデータを根拠としてペルソナを埋めることで、実態からの乖離を防げます。

具体的な内容に落とし込む

既存顧客から情報収集した後は、そのデータを活用していよいよペルソナを完成させていく段階です。年齢や性別、課題や趣味嗜好などの多様な要素を、具体的な人物像が思い浮かぶまで定めていきましょう。担当者の主観を防ぐためには複数人で作業を行うことも大切です。

見直し・改善を行う

    完成したペルソナは、マーケティング施策に活用しつつ、適時見直しと改善を進めます。前述の通り、ペルソナは一度作成して終わりではありません。定期的に見直しを進められるよう、作成時に評価と改善を行うタイミングも定めておきましょう。

    8. まとめ

    ペルソナとは、自社製品やサービスの基本となる顧客像のことです。ユーザー視点で顧客ニーズを把握でき、チーム内の意思疎通も円滑になるなど、マーケティング業務で幅広く重宝します。

    しかし、適切なペルソナを作成できたとしても、次の取り組みの礎にしなければ意味がありません。ペルソナの効果的な活用のためには、Brazeの導入をぜひご検討ください。

    Brazeには、直感的な操作でカスタマージャーニーを作成できる「Braze キャンバスフロー」や、AIが顧客への最適なアプローチタイミングを判断する「Sage AI by Braze」など、マーケターの業務を支援する機能があります。

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