カスタマーエンゲージメント


小売業・Eコマースのカスタマーエンゲージメントは今

メアリー・カール 作成者: メアリー・カール 2021/08/30

コロナ禍が始まってから早くも1年が経過しました。世界中の企業がパンデミックの影響を受け、厳しい環境にありますが、特にダメージが大きいのは小売業でしょう。

この1年で業績を向上させたい、あるいは困難な状況から立ち直りたいと考えている小売業やEコマースの企業がそれらを実現するために必要なことは、カスタマーエンゲージメントに焦点を当てることです。

カスタマーエンゲージメントは、自社ブランドを他社と差別化する秘密兵器です。なぜなら、成功を収めるためには、他のどのような時間的投資やビジネス上の優先事項よりも顧客との関係構築が重要だからです。

大切なのは、一度限りではなく継続的にカスタマーエンゲージメントを実現すること。顧客の需要が変化し、新しいテクノロジープラットフォームが登場して新しい行動やトレンドが生まれれば、ブランドは常にそれに適応していかなければなりません。カスタマーエンゲージメントは継続的なプロセスなのです。

小売業やEコマースの企業が顧客と適切に関係構築できるよう、Brazeは初の年次グローバルカスタマーエンゲージメントレビューをまとめました。このレビューの分析結果は、カスタマーエンゲージメントの向上が、いかに長期的かつ資本効率の高いビジネス成長に直結するかを明らかにしています。ここでは、調査結果の一部をご紹介します。

小売業とEコマースに最重要なカスタマーエンゲージメント

小売業やEコマース企業が顧客のロイヤルティを獲得するため、これら業種のビジネスリーダーは、カスタマーエンゲージメントを向上させるための投資を優先すべきです。実際、Wakefield Research社が行った1,300人のVP以上のマーケティング担当者を対象とした調査によると、小売・Eコマース企業の半数以上が、今年はマーケティング活動に関連する支出を増やすことを計画しており、これは他のどの業界よりも大きい数値です。

また、調査対象となったリーダーの約半数が、今年は顧客満足度やエンゲージメントなどの重要な顧客KPIの測定方法を改善したいと回答しました。

当社の調査では、小売・Eコマース企業が4つのチャネルでクロスチャネル・メッセージングを活用してカスタマーエンゲージメント活動を最適化した場合、LTV(顧客生涯価値)を3倍に、90日後のリテンションを7.3倍に高めることができるという結果がでています。

ユーザーに長く滞在してもらい、より多くのお金を使ってもらうための戦略は、小売業やEコマースの分野では特に大きな影響があります。戦略実現のためには、カスタマーエンゲージメントに対する適切なアプローチを用意することが重要なのです。

小売・Eコマース企業におけるカスタマーエンゲージメントの可能性

#1: アプリのユーザーを購入者にするには

すべての小売・Eコマース企業がモバイルアプリを導入しているわけではありませんが、当社の調査によると、この業界ではモバイルでのエンゲージメントが非常に高いことがわかっています。

実際、小売店やEコマースのユーザーは、アプリ利用コンバージョン率が全業種の平均よりも15%高いのです。しかし、アプリを持っているからといって、オンラインオーディエンスがアプリの見つけ方を知っていて、積極的にダウンロードしてくれるとは限りません。

モバイル対応が進んでいる小売店のユーザーを活用するためには、Webサイトのバナーやブラウザ内メッセージ、メールなどを使ってアプリのダウンロードを促すメッセージングキャンペーンの構築を検討してみましょう。

小売店のユーザーにメッセージを送ってアプリに興味をもってもらうことは有用ですが、実際に商品を購入してもらうことは難しいでしょう。

当社の調査によると、小売業ではアプリを利用する際のコンバージョン率が非常に高い一方で、購入する際のコンバージョン率は業界全体の平均値よりも約30%低いことがわかりました。

ユーザーの購買意欲を高めるためには、ユーザー向けのメッセージチャネルを増やすことが効果的です。例えば、商品やセールをチェックしてもらうためにメールを送るだけではなく、アプリ内メッセージを利用することをおすすめします。これにより、ユーザーがアプリを利用している間もメッセージを送り続けることが可能になります。

エンゲージメント戦略の一環としてアプリ内メッセージを使用することで、潜在的な顧客を「見るだけ」から「購入する」に誘導することができます。「アプリ内メッセージでブラウジングからコンバージョンへ」の概要を確認して、効果的に活用する方法を学びましょう。

#2: シングルチャネルを超えた取り組みの効果

多くの企業は、Eメールやプッシュ通知などの身近なチャネルでは顧客とつながっています。しかし、LTV・購入数・セッション活動などで成功を収めている小売企業は多くの主要チャネルを併用しているのです。

例えば、Webプッシュのみを配信している企業の平均LTVは21.43ドルです。しかし、Eメール・アプリ内メッセージ(IAM)・Webプッシュ・モバイルプッシュなどのクロスチャネルのアプローチを採用している小売企業では、LTVが1615%以上も上昇しています。

このようにクロスチャネルのアプローチが効果的な理由は、小売業やEコマースの企業が、ユーザーにとって需要のあるアプローチを実行できるからです。より多くのチャネルを使用することで、カスタマーエンゲージメントのタッチポイントが増え、各キャンペーンの潜在的なリーチが拡大するだけでなく、複数の方法で一貫したメッセージを伝えることが可能になるのです。

小売業やEコマース企業のためにBrazeができること

小売業やEコマースの企業は、カスタマーエンゲージメントの重要性を理解するだけでは不十分です。ブランドのビジョンを実現するためには、必要なテクノロジーを確保することが大切です。

Brazeのプラットフォームは、瞬間的なストリーミングデータとネイティブなクロスチャネルオーケストレーションをサポートするように設計されています。そのため、小売業やEコマース企業はあらゆるチャネルで効果的なメッセージングキャンペーンをシームレスに構築できます。その結果、ユーザーとの関係が強化され、ビジネスの成果が向上するのです。

ファッションECのトップブランドであるPomelo Fashionの例を見てみましょう。Pomelo Fashionは、購入手続きの途中で離脱してしまった顧客を再び獲得したいと考え、Brazeのプラットフォームを利用。手続き中に離脱したユーザーを対象とした応答性の高いクロスチャネルメッセージを構築しました。その結果、メッセージを受け取らなかったユーザーと比較してセッション数が5%増加、コンバージョン率が84%増加、収益が235%増加しています。

カスタマーエンゲージメントの成功事例を参考にしよう

カスタマーエンゲージメントを適切に活用している企業は、顧客獲得コストを抑えつつ、顧客ロイヤルティと顧客生涯価値の向上というメリットを享受しています。また、NBA、Grubhub、Payomatic、GOATなどのブランドが、カスタマーエンゲージメントとビジネス全体のKPIを達成するためにどのような戦略をとっているかについてもご紹介しているので、こちらをご覧ください。


メアリー・カール

メアリー・カール

ライター兼デジタルストラテジスト。複数のブランドのEメール、ソーシャルメディア、コンテンツマーケティングを担当。6つのモバイルアプリやSNSの立ち上げに携わる。Netflix/Hulu/Amazon Primeのお勧め情報や旅行情報なども発信している。

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