「自分の理想通りに動くChatGPTがほしい」。そのような願いが叶うかもしれない機能が、GPTsです。
この記事では、GPTsの特徴や機能、使い方や作成方法を画像つきで解説します。具体的な活用方法や注意点とあわせて、ぜひ参考にしてください。
1. 「GPTs」とは?
GPTsとは、自分の用途や目的に特化したChatGPTを作成できるサービスです。ChatGPT内の機能の一つとして2023年11月から有料会員向けに提供されており、「文章の校閲を手伝うGPTs」や「アイデア出しの壁打ち相手となるGPTs」などを自由に作れます。
元々ChatGPTは幅広い作業に対応していますが、それゆえに思い通りの出力を得るためには工夫が必要でした。その点、GPTsでは、ある作業に特化させることでイメージ通りの回答を得やすくなる仕組みを採用しています。
GPTsの作成は簡単で、作成したGPTsを外部に公開して収益を得たり、反対に誰かが公開したGPTsを利用したりもできます。2024年5月からは無料会員でも他者のGPTsの利用が可能となりました。
2. GPTsの機能や特徴
では、GPTsの機能や特徴を詳しく見ていきましょう。
2.1. ノーコードで作成できる
GPTsはノーコード(プログラミングの知識不要)で作成できるのが特徴です。作成は基本的に、専用のチャット画面から日本語でChatGPTと対話を繰り返していくのみで完了します。ITスキルに自信がない方でも理想のChatGPTを作れるかもしれない夢のある機能です。
2.2. 外部サービスとAPI連携が可能
ITスキルに自信がある場合は、外部サービスとのAPI連携を駆使して、GPTsに高度な機能を持たせることもできます。
例えば、最新の天候データや自分のスケジュールを外部サービスから取得させれば、「リアルタイムの天気も考慮に入れて予定を教えてくれる秘書GPTs」なども作成できます。
2.3. 作成したGPTsを公開・共有できる
作成したGPTsは、公式ストア(GPT Store)を通じて外部に公開可能です。2024年7月現在、GPT Storeでは既に多様なGPTsが提供されており、自社に適したものがあれば追加費用不要ですぐに活用できます。
もちろん、自作したGPTsを外部に公開せず社内のみで利用したり、専用のリンクを共有した方のみにアクセスを許可したりと、制限をかけることも可能です。
2.4. 収益化も可能になる
GPTsは自社の業務効率を向上させるだけではなく、それ自体が収益を生み出す可能性も秘めています。ChatGPTの提供元であるOpenAI社は、「GPT Storeに公開したGPTsは、将来的に収益化が可能になる」と予告しています。
実際、2024年3月末から米国で一部のGPTs作成者に対して報酬プログラムの試験提供が始まっており、今後日本での展開も期待されます。
3. GPTsの使い方
それでは、実際にGPTsを使う方法を解説しましょう。「公開されているGPTsの使い方」と「オリジナルGPTsの作り方」に分けて解説します。
3.1. 公開されているGPTsを利用する方法
公開されているGPTsは以下の手順で簡単に利用できます。
【STEP1:ChatGPTのホーム画面左側から「GPTを探す」を選ぶ】
まずはChatGPTのホーム画面を開き、左側のバーから「GPTを探す」を選択します。
【STEP2:検索窓あるいはジャンルから気になるGPTsを選ぶ】
続いて、上部の検索窓や「ライティング」「ライフスタイル」などのジャンルから、試してみたいGPTsを探します。
【STEP3:詳細を確認のうえ「チャットを開始する」を選ぶ】
気になるGPTsを見つけた後は、レビュー(星の数や件数)や詳細を確認し、問題がなければ下部の「チャットを開始する」のボタンを押します。
【STEP4:通常のChatGPTと同様にチャットを進めていく】
以降は、通常のChatGPTと同様にチャットを進めていくのみでOKです。活用方法がわからない場合、多くのGPTsは「あなたは何ができますか?日本語で教えてください」などと質問すると概要を教えてくれます。
3.2. GPTsを作成する方法
オリジナルのGPTsを作成する場合も、手順は難しくありません。今回は、マーケティング業務に欠かせないペルソナの作成を助けてくれる「ペルソナつくる君」というGPTsを実際に作ってみましょう。
【STEP1:ホーム画面右上のメニューから「マイGPT」を選ぶ】
まずは、ホーム画面右上のメニューより「マイGPT」を選びます。
【STEP2:「GPTを作成する」を選ぶ】
次に、上部の「GPTを作成する」のボタンを選択します。
【STEP3:左下のチャット欄から希望のイメージを伝える】
GPTs作成用のチャット画面が表示されます。左下のチャット欄から作りたいGPTsのイメージを伝えましょう。今回は以下の文章を入力します。
「マーケティング施策の助けとなる「ペルソナ」の設定をサポートしてくれるGPTsを作成したいと考えています。最初に「自社製品の魅力」と「主なターゲット」を質問してください。次に、その回答を参考に、後述の「ペルソナに必要な項目」をすべて網羅しながらペルソナを出力してください。必ず順守すべき条件と必ず出力を希望する項目は以下の通りです。
【条件】
・出力は必ず日本語で行う
・不明点があれば質問する
・各項目の出力は1~2行で簡潔に
【ペルソナに必要な項目】
・名前
・性別
・年齢
・住んでいる地域
・家族構成
・学歴
・職業、業種
・仕事内容
・部署、役職
・年収
・よく使う情報収集の手段
・情報収集の時間帯
・課題や悩み
・価値観
・趣味
【STEP4:名前とアイコン画像を作成する】
入力後は「GPTを更新しています…」と10秒ほど表示された後、GPTsの名前とアイコン画像の候補が自動で作成・提案されます。問題がなければ「OKです」などとそのまま受け入れましょう。
上記の画像では、名前を提案された「ペルソナサポートGPT」ではなく「ペルソナつくる君」に変更するようお願いしています。
【STEP5:(必要に応じて)チャットを繰り返してGPTsを洗練させる】
名前とアイコン画像の作成後は、右側に現時点のGPTsのプレビューが表示されます。実際に質問をして動作を確認し、必要に応じて左側のチャットに要望を出してGPTsを更新しましょう。
更新後は、また右側のプレビューに質問をし、調整が必要なら左側のチャットへ…と、繰り返してGPTsを洗練させていきます。今回は一度の調整後に以下の通り質問してみたところ、想定通りの返答が始まりました。
【STEP6:右上の「作成する」を選び完成させる】
十分な返答が確認できた後は、右上の「作成する」を押してGPTsを完成させます。共有レベルを「私だけ(非公開)」「リンクを受け取った方」「GPTストア(全体公開)」の3段階から選びましょう。特別な理由がない場合は、まずは「私だけ」がおすすめです。
作成したGPTsは左側のメニューに登録され、今後はいつでも呼び出すことができます。
4. GPTsを活用するには?具体的な活用例を紹介
では、GPTsを活用するとどのようなことが実現できるのでしょうか。具体的なツール例と一緒に活用例を見ていきましょう。
4.1. デザイン・クリエイティブ作業の効率化が図れる
デザインやキャッチコピーの作成など、クリエイティブな作業はGPTsが得意とする分野です。
例えば、デザインツールとして有名な「Canva」はGPTsも公開しており、ポスターデザインやSNSへの投稿画像などをチャットを通じて作成してくれます。ChatGPTのチャット画面からCanvaのサービスに飛び、デザインの最終調節を行うことも可能です。
4.1. コンテンツ作成のサポートに最適
Webページのようなオンラインマーケティング用コンテンツの作成にもGPTsは重宝します。
例えば、「SEO Article Assistant」は、指定したKWを元に競合検索を行い、SEOを意識したWeb記事の構成案を作成してくれます。想定文字数の指定や関連KWの書き出しも可能で、SEO記事の作成に費やす時間を大きく節約できます。
4.3. プロンプトを効率的に管理し、最適化する
AIから質の高い返答を得るためには、プロンプトのクオリティが重要です。そのプロンプトの質もGPTsで最適化できます。
例えば、「Prompty」というGPTsは、こちらの要望を伝えると、プロンプトに含むべき要素を例と共に列挙してくれます。
4.4. プログラミングコードを生成する
GPTsはプログラミングコードの生成にも重宝します。人気を集めているのは「Programming Genius」と呼ばれるGPTsです。
このツールは、希望する動作や言語を伝えると、必要に応じて外部の情報も参照しながら、叩き台となるプログラミングコードを生成してくれます。
4.5. 教育や学習に活用する
社内の教育や知識の熟成にGPTsを活用するのも有効です。例として、「Paper Interpreter」は、論文のPDFやURLを与えると、その内容を初学者でも理解しやすいように噛み砕いて説明してくれます。
また、「孫子 - saysay.ai」というGPTsでは、質問に対して孫子の思想や名言を絡ませて回答してくれます。例えば、「マーケティングのペルソナとは?」と質問すると、一般的な説明の後に「孫子の兵法には敵を知り己を知れば百戦危うからずという原則が~」などとユニークな解説が行われ、記憶に残りやすい形で学習を進めることが可能です。
5. GPTsを活用する際の注意点
最後に、GPTsを自社で活用する際の注意点を確認しておきましょう。
5.1. 情報が漏洩する可能性がある
GPTsを悪意のあるユーザーが作成・公開した場合、利用者が入力した情報が抜き取られる可能性があることが懸念されています。また、自社が公開したGPTsに与えている情報を、プロンプトインジェクションのような攻撃により抜き取られるリスクもあります。
そもそも、ChatGPTへの入力内容はOpenAI社による確認や学習に利用される可能性があるため、社外秘の情報は与えないように意識しておきましょう。
5.2. 著作権侵害や法的責任のリスクがある
GPTsを通じて生成するコンテンツには、他者の著作権を侵害したり法律に触れたりする内容が含まれる可能性があります。これは、AIには人間のような倫理観や感情がないためです。「法律やルールには違反しないが誰かを傷つける可能性はないか」を含め、生成物を利用する前には必ず人の手で確認をしましょう。
5.3. 利用回数制限がある
ChatGPTには時間あたりの利用回数制限があります。公式Q&Aによると、有料会員の「ChatGPT Plus」のユーザーの場合、GPT-4モデルは3時間ごとに最大40回、GPT-4oモデルは3時間ごとに最大80回が出力の上限です(2024年5月13日時点)。
無料ユーザーの利用回数上限は非公開とされています。ChatGPTの出力上限に到達した場合、GPTsの出力にも一時的に制限がかかる可能性があります。
5.4. 収益化を考える際は規約をしっかりと読んでおく
GPTsは将来的に収益化を可能とする方針が公開されており、実際にアメリカで試験的な取り組みが始まっています。GPTsを公開し収益の獲得を目指す場合は、OpenAI社の利用ポリシーを熟読し理解しておきましょう。
例えば、冒涜的な名前であったり、生々しい暴力の描写があったりするGPTsは、規約違反だと定められています。
5.5. 作者名の公開設定を確認しておく
GPTsの公開時には、そのままでは作者名として本名(クレジットカードの登録名)がほかのユーザーに表示されることがあります。本名を公開したくない場合は、「設定」→「ビルダープロファイル」と進み、名前欄のチェックをオフにしておきましょう。
6. まとめ
GPTsは、自分の目的や用途に適したChatGPTを作れるサービスです。日本語で簡単に作成でき、外部への公開で収益を得られるサービスの提供予定もあるなど、多くの可能性を秘めています。
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