まず、サードパーティデータがありました。次にファーストパーティデータが登場します。さらにセカンドパーティデータが登場します。そして今、マーケターが知り、収集すべき新しいタイプの顧客データがあります。それが、ゼロパーティデータです。このゼロパーティデータとは、2017年にForrester社が初めて使った用語ですが、既に収集されているかもしれません。
そもそも、ゼロパーティデータとは何でしょうか?今日はその質問に答えていきたいと思います。ゼロパーティデータとは何か、なぜゼロパーティデータが重要なのか、ゼロパーティデータ、ファーストパーティデータ、セカンドパーティデータ、サードパーティデータの違いについて説明します。
ゼロパーティデータとは?
ゼロパーティデータのForrester社による定義には、「顧客が意図的かつ積極的にブランドと共有するデータ。これには、プリファレンスセンターのデータ、購入の意図、個人的なコンテキスト、個人がブランドに自分を認識してもらいたい方法などが含まれる」とされています。
一般的なゼロパーティデータには、顧客がブランドのプリファレンスセンターで選択した好みや、ウェブサイトでのアンケートへの回答が含まれます。一般に、ブランドが、投票、クイズ、プリファレンスセンター、フォームなどを通じて顧客についての情報を把握している場合は、手持ちのゼロパーティデータを自由に使える状態になっています。
では、ゼロパーティデータ、ファーストパーティデータ、セカンドパーティデータ、サードパーティデータの違いは何でしょうか?
ファーストパーティデータとゼロパーティデータは、どちらもブランド自らが収集するデータですが(セカンドパーティやサードパーティが収集するデータとは異なります)、ゼロパーティデータはファーストパーティデータに比べてより直接的に収集したものをいいます。ファーストパーティデータとは、ユーザーのウェブサイトの閲覧状況やメール、アプリ内メッセージに対するエンゲージメントなど、間接的で推察されたインサイトを指すのに対して、ゼロパーティデータとは、アンケートへの回答など、顧客が明示的に会社に提供する情報を指します。
ファーストパーティデータの定義:これはブランド(第一者)が顧客の許可を得て収集、追跡する顧客データです。ファーストパーティデータとは、ブランドが所有するウェブサイトやアプリ、デジタル体験を利用する際に、ユーザーがブランドと直接的および間接的に共有する情報のことです。
ファーストパーティデータの例:ユーザーが企業からのプッシュ通知をオプトインし、ブランドからの通知をクリックすると、ブランドが追跡するアクティビティはファーストパーティデータとみなされます。
セカンドパーティデータの定義:セカンドパーティデータとは、ファーストパーティが収集したデータのうち、出版社やプラットフォームなどのパートナーに提供されて活用されるデータのことで、しばしば「ほかの誰かのファーストパーティデータ」とも呼ばれます。
セカンドパーティデータの例:例えば、出版社が所有する(ファーストパーティ)データを、その出版社のネットワーク内にいる類似の顧客にリーチするため広告主に提供すると、それはセカンドパーティデータになります。
サードパーティデータの定義:自社以外の企業(つまり第三者)が収集した顧客データです。サードパーティデータは、多くの場合、消費者の知らないうちに、または直接の同意なしに取得されます。
サードパーティデータの例:例えば、出版社がウェブサイト訪問者の追跡をサードパーティに許可し(有料)、顧客プロファイルの作成に使用できる情報を収集して、ターゲティングの目的で広告主に販売することができます。
ゼロパーティデータが重要な理由は?
そもそも顧客のいない会社はあり得ません。ブランドが自らの顧客を知らず、顧客の欲求やニーズに関する情報を持ち合わせていなければ、ソリューションとしての商品やサービスを適切にマーケティングすることは困難です。
デジタルマーケティングの観点からは、顧客エンゲージメントキャンペーンで成果を上げるには、最高水準の顧客データ収集戦略を導入して顧客の実態を把握し、そのインサイトを基にパーソナライズされたマーケティング活動とデータ主導のマーケティング戦略を両方とも推進する必要があります。
もちろん、すべてのデータが同等というわけではありません。特に、セカンドパーティデータには弱点があることが知られています。セカンドパーティのマーケットプレイスが価格を独自に設定できるので、通常は取得コストが高くなり、大規模に利用するのが難しくなります。GDPRやCCPAをはじめ、消費者のプライバシー保護を求める声が大きくなっており、世界中の国や地域のブランドや個人に影響が及んでいます。同時に、SafariやFirefoxなどの他のブラウザに続き、GoogleでもChromeのサードパーティCookieを廃止する計画が発表されました。また、Appleの最近のプライバシー重視の変更により、今後はますますサードパーティデータに依存することが難しくなります。
サードパーティCookieの廃止やAppleのIDFAのアップデートのようなプライバシー関連の変化について、Wakefield ResearchがBraze 2022 Retail Customer Engagement Reviewで報告している調査によると、小売企業とeコマースブランドのほぼすべて(90%)が対応するためのマーケティング予算を増額する予定であると回答しています。さらに、業界横断的な2022 Global Customer Engagement Reviewによると、ブランドの35%がゼロパーティデータやファーストパーティデータに焦点をあてるために予算を増額する予定であることがわかりました。
ゼロパーティデータを収集するには?
前述したとおり、ブランドがゼロパーティデータを収集する一般的な方法には、以下のようなものがあります。
投票
クイズ
フォーム
ブランドは、以下のメッセージングチャネルを活用して、ゼロパーティデータを収集できます。
ゼロパーティデータの活用方法は?
マーケターがゼロパーティデータ収集戦略を利用する方法の1つは、匿名ユーザーについて詳しく知ることです。匿名ユーザーとは、ログインせずにウェブサイトにアクセスしたり、アプリを使用したり、ゲストとして閲覧を続けることを選択した顧客のことをいいます。リテールユーザーの86%、全ブランドの57%が匿名ユーザーであるということは、認知して働きかけを行うべき未開拓の巨大なオーディエンスが存在することを意味します。匿名ユーザーのエンゲージメント戦略を構築するには、簡単なアンケートを実施するか、ユーザーが希望するチャネルでブランドからの情報をオプトインするよう促します。
まとめ
導入準備はできていますか?匿名ユーザーキャンペーンガイドでは、ゼロパーティデータを生育、活用し、匿名ユーザーを完全に認知するための6つのアイデアを紹介しています。また、ゼロパーティデータとファーストパーティデータの戦略に対する投資が増加している理由については、2022 Global Customer Engagement Reviewの全文をご一読ください。