デジタル技術の急速な発展や新型コロナウイルスによるパンデミックなど、企業を取り巻く環境は激しく変化しています。マーケターは、カスタマーエンゲージメントを最大限に活用し、デジタルトランスフォーメーション(DX)で具現化された新しいモデルで、ポストコロナの世界で勝ち残らなければなりません。
今回は弊社の Bill Magnuson(創業者兼CEO)、James Manderson(グローバルカスタマーサクセス担当SVP)、Marc Suchland(DACH担当ゼネラルマネージャー)に、カスタマーエンゲージメントに関する今後の展望と、今日すべきことについて意見を聞きました。
1.経済が不安定化、カスタマーエンゲージメントの自動化がより重要に
Billは「2023年、多くのマーケターは不透明な経済状況により、経営資源、特に広告費やマーケティング投資などに大きな制約が起きる。」と述べています。解決のヒントはテクノロジーを活用したカスタマーエンゲージメントを自動化で、小規模なチームでも効率的にPDCAサイクルを回し、ROIを高められます。顧客に対し、明確で一貫性のあるカスタマーエンゲージメント戦略を展開し、ブランドは企業が自社で収集した顧客情報であるファーストパーティデータを獲得し、有料広告への依存度を下げられます。ブランドを心の底から愛してくれる、ブランドの強烈なファンを形作ることで、現在の経済停滞から脱却するための新たな機会を生み出してくれるでしょう。
2. 支出のさらなる効率化が求められ、最適化が不可欠となる
Jamesは「マーケティング投資を最大限に向け、新規顧客の獲得に支出していた費用を分析し、効率性を目指すブランドが増える」と述べています。また、現在、MetaやGoogleを通じて、既存顧客をターゲットに広告施策を展開し、実質、広告費が数倍になっているブランドが多い、と指摘しています。
また、「マーケティング活動全体のオーディエンス・マッチングに、このファーストパーティとゼロパーティデータを利用するマーケターが増えるかもしれない」と語り、既に自社ブランドと関わっている顧客をリアルタイムで特定し、有料広告の対象から外すことができます。これにより、予算の無駄遣いや、不要なメッセージの繰り返し送信や、顧客が購入後に同じ商品の割引クーポンがオファーされるような「ざんねんな顧客体験」を防ぐことができます。
「マーケティング戦略を作る上で、広告効果の測定をメインに考えるべき。」とMarcは指摘します。今日のマルチチャネル環境下では、広告効果測定はかつてないほど、簡単かつ安価に行うことができます。マーケターは特に予算が制限されている時、より良い結果に繋げるために、適切な対象者、チャネル、タイミングに焦点を当てることができます。
3. ブランドは、ブランドへのファン化と顧客維持(リテンション)に注目するようになる
「経済的な逆風が続くとマーケティング予算が厳しくなり、ブランドは顧客獲得よりも顧客維持(リテンション)を優先するようになる。」とJamesは述べます。一般的に、新規顧客を獲得するよりも、既存顧客を維持する方が簡単で費用対効果も高く、ROIを向上させることができます。更に、サードパーティCookieの廃止やAppleによるアプリを横断したトラッキングの仕様変更等により、新規顧客の獲得費用の価値が更に減少すると予測され、顧客のブランドへのファン化とカスタマーリテンションの重要性がさらに強調されるでしょう。
Marcは「カスタマーエンゲージメントは、顧客ロイヤルティと顧客維持(リテンション)に有効な戦略であり、具体的な施策である。」と述べます。「最高の新規顧客は既存顧客である。」という格言は、今日でも通用します。そして消費環境が冷え込むにつれ、お財布事情も厳しくなれば、同様のビジネスを行う競合他社に流出してしまうリスクが大きくなります。」最新のカスタマーエンゲージメントプラットフォームでは、企業は個々の顧客に向けたパーソナライズされたキャンペーンを迅速、かつ容易に作成できます。これらのキャンペーンは、わずか数回のクリックで簡単に自動化できます。
Jamesは、ブランドは既存顧客を維持するために、カスタマーエンゲージメントとサービスにもっと力を入れるべきだと考えています。これは、長期的なブランド構築戦略の一環であると同時に、短期的なROIの改善努力も必要です。ブランドにとって重要なのは、既存顧客に対し、その価値と意味のある体験、エンゲージメントを提供し、ロイヤルティを確保することです。
4.ターゲットを絞ったカスタマーエンゲージメントキャンペーンが必要不可欠となる
「ブランドの予算が厳しく問われる一方で、顧客のお財布事情もまた同様であることを忘れてはならない。」とJamesは続けます。したがって、ブランドは、優れたカスタマーサービスと効果的なコミュニケーションを通じ、顧客に価値提供をしなければならない。それを継続的に繰り返すことで、顧客との良好な関係を築くことができます。
Jamesは「ブランドはファーストパーティデータとリアルタイムオーケストレーションの活用で、より細かいセグメントとターゲットに、より細かなメッセージを、それぞれの顧客のニーズに合わせ、パーソナライズしてコミュニケーションができる」と述べています。顧客の状況に応じたパーソナライズされたレコメンデーションやオファーの提供ができれば、ブランドは、特に顧客が何にお金を使うべきか?のトレードオフを決断するシーンで、有効な施策を展開できます。
5. すべての顧客を獲得するために、ブランドは匿名ユーザーに焦点を当てるべき
Jamesは、ブランドは自社のウェブサイトやアプリを訪れる匿名のユーザーへの理解を高める必要があると述べています。企業のアプリやウェブサイトへの訪問者の多くは匿名です。実際、弊社による調査では小売・EC事業者においては、自社サービスにログインしているユーザーはわずか14%で、86%は匿名のままでした。これらは、自分のアカウントを持たず、あるいはログインせずに自社サービスのウェブサイトを閲覧し、購入をしています。
また、同じく小売・EC事業者は、96%の匿名ユーザーと一切、コミュニケーションを取っていません。匿名ユーザーの獲得は、顧客獲得や有料メディアのコストを削減し、ファーストパーティデータ収集の取り組みを強化する、マーケターにとって最も強力な成長機会となります。
Jamesは、マーケターは今後、匿名ユーザーが持つポテンシャルに目を向け、顧客維持率を向上させるべきだと考えています。「ある調査によると、匿名ユーザーにたった1回メッセージを送るだけで、最初の1週間以内に購入する確率が、既知のユーザーと比べ、58%増加する」と続けます。
6. カスタマーエンゲージメントでマーケターの業務効率も上げる
顧客はより良い体験を求め、企業はその期待に応えるために日々活動しています。Marcは「マーケターの生産性向上は、さまざまなソースから発生するデータを結合させ、価値あるインサイトを得るためのデータ戦略から始まる。この中で、プロセスが自動化され、本来やるべき仕事に自分のアイデアと時間と労力を割くことができるようになる。」と述べます。また、デジタルツールの活用により、企業は競合との競争で優位に立つだけでなく、変化とチャレンジを求めるマーケターの人材確保にもつながります。
7. 2023年、分野を超えたマーケターが台頭する
Billは成功するマーケターは、データパートナーと緊密に連携し、顧客体験を向上させる人材と考えています。カスタマーエンゲージメントの展開には学術的なスキルが必要な一方で、新しいツールを受け入れ、技術的なスキルも身につけるような人材が必要ですが、そんな人材はほんのわずかしか存在しません。最先端のテクノロジーは、マーケターでも扱えるように設計されているため、コンピューターサイエンスの学位は必要ありません。
最後に
経済の不透明さが増す中で、マーケターは大きな課題に直面しています。ただ、一方で、カスタマーエンゲージメントを向上させ、価値を高め、長期的な関係を構築するチャンスでもあります。
Marcは、「私たちは、今年この1年に大きな自信を持っている」と述べます。それは、クロスチャネルのカスタマーエンゲージメントを具現化できる私たちのソリューション Braze が、この経済状況の中でも、企業の持続的な成長を支援できるからです。
この7つのトレンドとBrazeについてもっと知りたい方は、ぜひこちらのホワイトペーパー「Brazeを選ぶ7つの理由 〜 2023年、アフターコロナで変わる消費者とマーケターの新しい関係を読み解く」をご覧ください。