カスタマーエンゲージメント


WWDCの発表:Apple Intelligence、RCSがiOS 18に登場

Team Braze 作成者: Team Braze 2024/07/08

AppleのWorldwide Developers Conference (WWDC)は6月10日の月曜日に華々しく幕を開け、Appleの役員たちはMötley Crüeのサウンドトラックに合わせて飛行機から飛び降りるふりをするという演出で会場を沸かせました。その後も盛り上がりを見せ、Apple全てのオペレーティングシステムとデバイスに関する新機能の発表が次々と行われました。

14年ぶりにiPadに電卓アプリが登場するという発表が一番の目玉だったという声もありますが、私たちは今年後半に登場するiOS 18に搭載の、いくつかの重要なアップデートに注目しています。これら新機能のほとんどは9月に広く利用可能になりますが、Apple Intelligenceの機能は現時点ではベータ版のみのリリース予定です。

9月までに知っておきたいカスタマーエンゲージメントチーム向けの注目機能をまとめてご紹介します。

1. Apple Intelligenceがプッシュ通知やメールに優先順位をつけ、要約する。

新しいAIが登場しました!Apple Intelligenceは、アップルの新しいAIフレームワークで、デバイス上の処理と大規模なサーバーベースのモデルの両方を活用し、すべてのAppleデバイスとオペレーティングシステムで機能を提供します。このハイブリッドアプローチの利点は、個人データのプライバシーを犠牲にすることなく、AIの恩恵を受けられる点です。

カスタマーエンゲージメントチームにとって特に重要なのは、Apple Intelligenceがメールアプリのプッシュ通知やメールの優先順位付けと要約を行うことです。これは、過去数年にわたりAppleやAndroidが発表してきた、通知のノイズを減らし、ユーザーがいつ誰に連絡するかをよりコントロールできるようにするための、より広範な動きの一部です。今回のリリースでは、AIがこれらのメッセージのテキストを分析し、長い通知や重なった通知を簡潔に要約し、優先度の高いメッセージを通知の上位に配置します。iPhoneユーザーは、新しいFocusモード「Reduce Interruptions(中断を減らす)」をオンにすることで、急いで見る必要がある通知のみを表示することができます。

Appleデバイスを使用している多くの顧客を持つブランドにとって、Apple Intelligenceのリリース後は、顧客メッセージの関連性がさらに重要になります。これは、プッシュ通知やメールの戦略を見直す絶好の機会です。それぞれの顧客に合わせた内容になっているか?明確な行動喚起があるか?iPhoneユーザーごとに優先度通知は異なるため、優先リストに載るための厳密なルールはありませんが、顧客が実際に関心を持つコンテンツを必要な時に提供することは、良いスタートとなります。

画像:Appleのプレスリリースより

2. RCSがついにiPhoneに登場

RCS(リッチ・コミュニケーション・サービス)は、テキスト、音声、高解像度の画像や動画、ファイル転送などの強化された機能を提供するIPベースのメッセージングプロトコルです。いわばSMS2.0です。Androidデバイスでは標準のピアツーピアメッセージングとして使われていますが、AppleはこれまでiMessageでRCSをサポートしていませんでした。今回、ついに対応します。このアップデートは昨年11月に初めて発表され、以前のブログ記事で詳細を紹介しましたが、簡単にまとめると、AppleのRCS対応により、AppleとAndroidユーザー間のメッセージング体験が大幅に向上します。(既読マークも!)これにより、ビジネスメッセージの未来にも影響を与える可能性があります。

3. Apple Mailがメールカテゴリを導入

メールアプリに、ついに受信トレイのカテゴリ機能が追加されます。新しい4つのカテゴリ、Primary、Transactions、Updates、Promotionsが登場します。Gmailでは数年前から似たようなカテゴリが導入されており、Apple Mailに対するアドバイスも同じです。「Promotions」タブは受信者が望む場所ですので、そこに入ることを目指しましょう。「Primary」カテゴリに入ることにこだわらず、価値のある関連性の高いメッセージを送信していれば、顧客は必要な情報を見つけることができます。

カテゴリーに加えて、メールアプリに新しいダイジェスト表示が追加されます。これは、ブランドからの関連するメール全てをまとめて表示し、Apple Mailユーザーが重要な情報をすばやく確認できるようにします。例えば、旅行前にすべてのフライト情報のメールを一か所にまとめたり、オンライン購入後に注文状況の更新を一か所にまとめたりすることができます。この新しいダイジェスト表示の利点は、顧客が最も必要としているときに重要な情報を再提示することで、一部のマーケティングを自動で行ってくれる点です。

4. アプリがよりプライベートに

GoogleとAppleは今年、機密性の高いアプリのデータをユーザーがより管理できるようにするための発表を行いました。Android 15では、ユーザーが機密アプリを別のユーザープロファイルとスペースに保存できる「プライベートスペース」という新機能が導入されます。WWDCでは、AppleがiPhoneとiPadユーザーが同様にアプリをロックしたり隠したりできる機能を発表しました。ユーザーは、Face ID、Touch ID、またはパスコードを使用して個々のアプリをロックするか、アプリをロックされた隠しフォルダに移動して非表示にすることができます。アプリが隠されたりロックされたりすると、そのアプリからの情報は通知や検索、その他の場所に表示されなくなります。

この機能は、銀行や健康関連のアプリなど、機密データを扱うアプリにとって注目すべき発表です。多くのユーザーがアプリを隠したりロックしたりすると、プッシュ通知の開封率が低下するか、少なくとも遅れる可能性があります。

5.iPhoneのプッシュ通知がMacに表示される

カスタマーエンゲージメントチームは、顧客がデバイス間を移動することを知っていますが、Appleの新機能「iPhoneミラーリング」でデバイス内デバイスという全く新しいエンゲージメントの世界が広がります。 iPhoneミラーリングにより、Macユーザーは自分のPC画面からiPhoneにアクセスし、操作できるようになります。iPhoneの通知はMacの通知と一緒に表示され、ユーザーはMacから直接モバイルアプリを起動することができるようになります。


このアップデートは、カスタマーエンゲージメントチームにとって興味深いものです。まず、iOSアプリのユーザーがiPhoneを操作していないとき・iPhoneの近くにいないときでも、ユーザーにアプローチできるようになります。次に、まだWebプッシュ通知を導入していないのであれば、チャネルミックスに新しく導入する良い機会になるかもしれません。Macユーザーがモバイルデバイスからのデスクトップ通知に慣れるにつれて、お気に入りのブランドのウェブサイトからのデスクトップ通知を受け入れる可能性が高まります。

画像:Appleのプレスリリースより

6. ライブアクティビティがApple Watchに登場

2年前、AppleはiPhoneにライブアクティビティを導入し、ロック画面でユーザーに継続的でダイナミックなアップデートを提供する新しいチャネルを提供しました。昨年、AppleはライブアクティビティをiPadにも拡大し、今年はApple Watchにも登場します。iPhoneと同じ使い方がApple Watchにも適用されますが(配達状況、ライドシェアのステータス、スポーツのスコアなど)、特にヘルス・フィットネスアプリにとって興味深いものとなるでしょう。Apple Watchは米国で最も人気のあるフィットネストラッカーであるため、ワークアウトやアクティビティのトラッキングは、これらのデバイスでのライブアクティビティに自然にフィットします。さらに、Appleは、最小限のコード変更でライブアクティビティをSmart Stackに自動的に追加することで、Apple Watchでのライブアクティビティの利用をさらに簡単にしています。開発者は、ライブアクティビティの外観や動作をカスタマイズすることができます。

7. Apple Vision Proが世界展開へ

数週間以内に、Apple Vision Proが中国、香港、日本、シンガポール、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イギリスで利用可能になります。Vision Proとその関連オペレーティングシステムであるvisionOSは、昨年米国でリリースされたばかりです。これまで比較的高価で、入手可能なデバイスも限られていたため、Vision Proが広く普及することはありませんでしたが、初回販売では20万台が売れたとの噂です。新しい市場に拡大し、機能が追加される中でどのように普及していくか注目です。

特にビデオストリーミング企業など、Vision Proサポートへの顧客需要が増える可能性のあるブランドは、早めにvisionOSエンゲージメントオプションの検討を始めることをお勧めします。BrazeがどのようにvisionOSのSDKサポートを追加したか、そして今後の展望については、当社のブログ記事をご覧ください。

最後に

今年のWWDCは、AppleユーザーやiOSアプリ開発者、それらのアプリを通じて顧客と関わるチームにとっても、注目すべきアップデートの連続でした。新しいオペレーティングシステムのバージョンは9月中旬にリリースされる予定で、Brazeのチームはベータ版でのテストと関連するアップデートのSDKサポートの構築を続けています。今後のリリースについては、iOS Swift SDKの変更履歴をチェックして、最新情報を入手してください。


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